ロードバイクの購入って一大イベントですよね。けっして安い買い物ではないので、「失敗したくない」と思うのは当然のこと。
予算をなるべく抑えて、気軽にロードバイクを始めるための選択肢としてリユース(中古)を買うのは超オススメなんですが、じつは中古自転車は新車購入と違って「買ってはいけないロードバイク」というものがあるんです。
では、購入は避けた方がいいロードバイクとは一体どんなものなのか、見るべきポイントをチェックしてみましょう。
NG①サイズが合っていないロードバイクは買うな!
いわゆるママチャリのような一般車であれば、サイズは基本的には26インチと27インチの2種類のみ。一方でスポーツ自転車の大きな特徴として、自分の体にあったサイズ選びが必須ということが挙げられます。身長が3cm違うだけで、車体がワンサイズ変わることもあるんです。
選択肢が多い分、初心者が失敗しやすい点でもあります。でもぶっちゃけサイズって本当に大事なの? 少しぐらいサイズがあわなくても乗れちゃうのでは……?
サイズの合わないロードバイクというのは、想像以上にデメリットがあります。最悪の場合、落車でけがにつながる可能性も。
ここで実際にサイズが違う自転車に乗る姿をイメージしてみましょう。わかりやすいように極端な例で解説します。
180cm以上が適正サイズのロードバイクに、身長158cmのバイチャリスタッフ熊谷さんが乗ってみます。もはや違和感しかない状態に。
- ペダルが回せない(下まで届かない)
- 腕がピンと伸びきってしまいハンドルが遠い
ここまで極端でなくても、サイズのあわないロードバイクだと同じことが起こります。
ハンドルまで遠いので、肘がピーンと伸びて肩がこわばります。さらに骨盤も左右にぶれてペダリングが安定せず、力を込められない状態に。
足がつかないならサドルを下げるからいいよ、というそこのあなた。ポジションは足まわりだけではありません。
たとえばハンドルの遠さはどうしようもない点で、じっさいに乗るとわかりますが、もはや走行時は苦行でしかないレベルです。体に無理な負荷がかかってしまう姿勢なのです。
ここまでは大きいサイズの話ですが、逆に小さいサイズならどうか? 今度は身体が縮こまってしまい、窮屈なポジションに。極端にいえば、自転車をこいだ時に肘と膝がぶつかってしまうイメージです。
サイズのあわないロードバイクに乗るデメリット
- ハンドルの重心がズレる
- 骨盤が左右にブレる
- ペダリングが安定しない
- パワーがかけにくい
- けがの原因
- 操作性低下による落車誘発
というわけで、自転車本来の走りを実現するには、体形に合ったサイズ選びがマスト。体に合ったロードバイクなら、適度にリラックスした体勢でラクにこぐことができます。
自分の身体に合った自転車を選ぶためには、やはり試乗するのが一番。バイチャリの店頭では気になったロードバイクの試乗が可能です。ぜひ店頭で知識豊富なスタッフに相談してくださいね。
NG②チェーンが伸び切っているロードバイクは買うな!
2つ目のNGポイントはチェーンの伸び。チェーンは、中古でロードバイクを買う際にぜひ気にしてほしいパーツです。グレードにもよりますが、ロードバイクのチェーンはだいたい3500〜5000kmほどで交換が必要になります。
バイチャリでは交換が必要なものは必ず対応済みで販売していますが、フリマアプリなどの個人間売買で手に入れる場合は要注意。チェーンの状態はパッと見ではわかりにくく、すでに伸び切っている場合もあります。どのくらい使用したかはチェックしておきたいですね。
伸び切ったチェーンのまま放っておくと、チェーン外れの原因となったり、パワー伝達が落ちるなど、変速や走行性能に悪影響を及ぼします。
ではチェーンの伸びはどうやってチェックするのか? じつは工具なしで簡単に確認できる方法があります。
①フロントの変速をアウターに入れて、チェーンを指でつまんで持ち上げてみる
②どのくらい持ち上がるかをチェック!
画像左はジャンク品の車体についている伸びきったチェーンですが、これは……かなり浮いていますね! 画像右のように、新しいチェーンだとまったく浮きません。まるで別物のようですね。
チェーンの伸びた自転車は、チェーンリングやスプロケットを削って消耗を早めてしまいます。チェーンが伸びきった状態で販売されている中古車には要注意!
NG③ブレーキシューやチェーンリングの山がすり減ったロードバイクは買うな!
ロードバイクには消耗品パーツが意外とたくさんあります。それらの消耗品が交換時期にきていると、ロードバイクを手に入れた瞬間から部品交換費用が発生してしまいます。少額ならまだいいですが、あっちもこっちもとなるとお財布が痛いですよね……
ここでは消耗しがちな代表例として「ブレーキシュー」と「チェーンリングの山」をチェック!
・ブレーキシュー
基本的にはシューの山がどれだけ残っているかで判断します。シューを上から見て、溝がどのくらい減っているかを確認しましょう。リミットラインがあるシューもあるので、そこが見えていないかをチェック。
フリマアプリのような個人取引の中古品はブレーキシューの交換まではしていないものがほとんど。使えはするけどすぐに交換しないといけない場合も。
ブレーキシューは溝が少なくなるほど効きが悪くなり、交換時期を過ぎてもそのまま使い続けてしまうと、金属の受け部分が露出してホイールを直にゴリゴリと削ってしまうことに……! 受けはもちろん、リムまでもダメにしてしまいます。
ブレーキシューだけなら2000円前後の出費で済んだところ、ホイール交換で数万単位のお金が飛んでいくことになりかねません。ブレーキシューは消耗パーツだと意識して、交換時期にはきちんと対応してくださいね。
・チェーンリング
実際にかなり摩耗した状態のチェーンリングがこちら。これはやばい! とげとげです!
使い切ってそれでもなお使っている状態で、サメの歯のようになっています……。
「スイカを食べるときに、白いところになってもまだ食べ続けている状態」とでも言いますか、これはもう味すらしないじゃんっていう限界のさらに先までいくとこうなります。
ここまでくると当然チェーン落ちしやすかったり、踏み込んだときに空転してしまうので、乗れる状態ではありません。もちろんバイチャリなど整備面で信頼できるお店であれば、こういった状態の自転車が売られることはないのですが、これも個人間売買ではあり得る話。
チェーンリングの消耗を見極めるためには、歯と歯の間に注目します。チェーンリングやスプロケットは歯と歯の間がUの字になっていますが、乗り続けるうちに、左側に力がかかるため、だんだんと削れていってUの字が広がってきます。
こうなってくるとチェーンの引っ掛かりが弱くなり、外れやすくなったりパワーがかかりにくい状態になってしまうというわけです。
駆動系は1か所だけパーツを変えても、他の個所が改善しない限りトラブルが解消しない場合が多く、とくに金額がかかる部分です。ノーチェックで購入して、すぐにダメになって大きな出費になることも考えられます。
そもそも擦り減ることを知らず、状態の悪い自転車に乗っていると事故・トラブルのもとに!
チェーン・チェーンリング・スプロケットなどの駆動部分は「消耗品」で、「寿命がある」ことを知っておきましょう!
NG④カーボンにヒビが入っているロードバイクは買うな!
個人売買のサイトなどで「クラックあり」「クラックチェック済み」の文字を見たことはありませんか? とくにオンラインの個人売買ではクラックに関する揉め事がよくありますが、カーボン素材に入るヒビをクラックと呼びます。もちろんヒビが入っている=壊れているので買わないようにしてください。
わかりやすいクラックの例をひとつお見せしましょう。
カーボンのチューブラーディスクホイールです。リムの部分がバキバキっと割れて、中の繊維が出てきてしまっていますね。
カーボン層が剥離し、リムのサイドも浮いてしまってるので、いわゆる乗れる状態としては売れないジャンク品扱いとなります。
そもそも、ここまで明らかに割れている場合を除いて、クラックが入っているかどうかを素人が判断することはほぼ不可能なんです。見づらいという話ではなく、目視で判断できる人ってたぶんいないと思うんですよね……。
ではどうやって判断するのかというと、超音波で検査をするんです。カーボンが割れているとフレーム内で超音波が反響しなくなって、波形がそこだけ変わるんです。
リユース自転車専門店のバイチャリにはこの超音波検査を実施できる設備があるので、あやしいフレームはしっかりチェック。確認後、プロのメンテナンスを経てユーザーの元へお届けしています。
中古購入に限らず、今カーボンロードに乗っている人は、シートクランプ〜シートチューブの部分はとくに注意をしてほしいところ。じつはここ、オーバートルクで締めつけたことにより、シートチューブにパキっとヒビが入ってしまうのは、あるあるなんです。バイチャリの買い取り品でもよく見られるのだとか。
私の経験では、チェーン落ちによるBB付近のヒビ・塗装剥離もよく目にします。クランクを外さないと見えない部分なので、メンテナンスの時に「あっ割れてる……」と気付くパターンがありました。中古車体を直接確認できるときは、チェーン付近を一緒に見るのもおすすめです。
中古でカーボンロードバイクを買う場合、ここはどうなっていますか?と細かく確認をとったり、気になるポイントは事前にしっかり質問してから買うようにしてください。バイチャリで購入する際はスタッフにガンガン聞いちゃってくださいね!
NG⑤乗車用に激安ジャンク品ロードバイクは買うな!
まずはジャンク品の定義から。
一般的にジャンク品と呼ばれるものは、
- 故障や破損があり、通常の機能を果たさないもの
- 部品に欠損があるもの
- 乗れる状態にするには修理が必要なもの
- 動作確認、動作保証ができないもの
といった車体を指します。
ジャンク品というのは車検を通らなかったクルマのようなもので、安全に乗れる機能を有していません。故障していたり、部品の欠陥があるので当然まともに乗ることができませんし、使用すると必ず不具合が発生します。
ジャンク品として販売されているロードバイクを「これめっちゃ安いじゃん! 乗りたい!
買おう!」と購入希望の人がいたとしましょう。(気持ちは分かります、そして実際にいるんです…)
ですが、安物買いの銭失いとはまさにこのことで、乗れるようにあれもこれもと部品交換をしていくと、想定よりもかなり高額になってしまうんです!
わたしがメカニックとして実際に対応した事例ですが、中古店で3万円で購入したMTBの油圧関係のパーツがすべてダメで、すべて交換した結果、新車定価とほぼ同額の修理費になってしまったことがありました。
予算を抑えたいからといって、そのまま乗るのは絶対にやめてください。怪我・事故・トラブルを引き起こす可能性が高く、デメリットしかありません。
たとえばパソコンのように、ジャンク品を購入して使えるパーツだけ抜くなど、乗ることを目的としないのであればよいのですが、乗用目的としての購入はやめましょう! 安全に乗れない自転車は、自他を巻き込んでの重大な事故につながってしまう恐れもありますよ。
NG⑥ホイールに振れがある自転車は買うな!
最後はホイールに関するNG事項です。結論からいうと、「著しくホイールに振れのある自転車はアウト!」です。
前後輪を回してみて、1か所以上ポコンと縦もしくは横に歪みがある状態を「振れ」といいます。
ホイールが振れていると、
- ブレーキの接触にムラが発生し効きにくくなってしまう
- 走ってるときにコントロールがしにくく、ふらついてしまう
といった現象が起こります。
通常、スポーク(細い棒のパーツ)は1本1本が荷物を支えあうように均等に頑張ってくれて、ホイールをきれいに形作っています。ただ困ったことに、たまーに頑張らないスポークが出てくることがあるんです。じつはホイールは、定期的に歪みをチェックしてスポークの締め直しが必要なんです。
そのままノーメンテナンスで放置すると、頑張らないスポークのところからリムに歪みが出てホイールがぐにゃりと振れてしまうというわけです。
振れが顕著であったり、スポークテンションがバラけているようなメンテナンス不足のものは買わないようにしましょう。
ちなみに自転車整備士試験では、リムで制御するブレーキの場合は1mm以下、ディスクブレーキなどのリム以外で制御するブレーキの場合は2mm以下の振れで抑えるように指定されています。実技試験では一発アウトになってしまう大事な項目なので、ホイールの歪みはとにかくタブーなことなんです。
番外編:屋外保管には気を付けて
「こんなロードバイクは買うな!」ということで6つのNG項目を紹介してきましたが、番外編としてもう一つだけ。
それは「保管場所のチェック」です。前オーナーの保管場所が、屋外保管か室内保管かどうかが分かれ道。
買うな!というほどではありませんが、屋外で保管されていた自転車はパーツの劣化が進んでいる場合があり、消耗品の交換費用が高くなる傾向にあります。
屋外保管だと避けられない「温度変化」「紫外線」「雨」のそれぞれが結構な悪さをしてしまうんですね……! ひとつずつ解説していきましょう。
まずは、温度変化が与える悪影響から。
自転車に使われている樹脂パーツ・金属パーツは、温度変化があまりに激しいとゆがみや変形が起こることがあります。水分が抜けて割れてしまったり、熱で変形してしまったり。それらが原因でブレーキや変速機のアジャスターが動かなくなってしまい、微調整が効かなくなると、メカニック泣かせな自転車に。
また、温度変化に弱いのはリチウムイオン電池も一緒なので、電動のバッテリーなどはとくに注意が必要です。これも個人売買でよくあるケースなのですが、「せっかく高いDi2(電動変速)のロードバイクを買ったのにバッテリーが劣化していて充電ができなかった」など、バッテリー関連の動作不良トラブルはよく耳にします。
次に紫外線です。
駅にずっと停めてある一般車を見ると、真っ白な自転車が黄色くなっていたりしませんか?
この紫外線による黄ばみは、ロードバイクでももちろん起こります。白だけでなく、赤系・オレンジ系の脱色・色褪せや、塗装面がひび割れているのも紫外線が影響しています。
ブラケットフードカバーやグリップ、サドルの座面がボロボロ崩れてくるケースも同様です。パーツ類はお金をかけて交換すれば新しくなりますが、フレームの変色は一朝一夕で復旧できないのでよく確認しておきたいところです。
最後に雨。これは言わずもがな、サビが発生して、見た目も動きも大幅ダウンしてしまいます。
では、こういった屋外保管をしていた自転車かどうかを見分ける方法は? そんなときは「パーツの色褪せ」をチェックしてみましょう。
たとえば、このヘッド部分のダストカバーとスペーサーに注目。
表面のアルミの塗装が紫外線で日焼けしてしまって、本当は真っ黒だったのに色が褪せてしまってるんです。
もうひとつ、シフトレバーのカバーに目を向けてみると、もともと透明だったものが曇って白色化していますね。これも屋外保管による劣化・細かいヒビが原因です。
このように屋外保管品は目視で判断できる部分があるので、メンテナンス状態の参考にできます。
盗難のリスク管理も含めて、ロードバイクは室内保管が理想です。現在屋外保管をされている方は、ぜひ屋内保管を視野に入れてください。紫外線や雨風に晒さないことで、結果的に車体・パーツの傷みを大幅に軽減できますよ。
大きな買い物だからこそ、失敗は避けたい!
今回はバイチャリ秋葉原店から、こんなロードバイクは買うな!6選+αをお届けしました。
リユース品といえども一般車よりもずっと高額なロードバイクを買うというのは一大イベント!
後悔のない買い物にするために以下のNGポイントに該当していないかをチェックしてみてくださいね。
【中古ロードバイク購入NGポイント】
- サイズが合っていない
- チェーンが伸びきっている
- ブレーキシューやチェーンリングの山がすり減っている
- カーボンにヒビが入っている
- ジャンク品を購入する
- ホイールに振れがある
バイチャリではプロのスタッフがしっかりと整備したロードバイクを販売しているので、もちろんここで挙げたような気になるポイントはすべて事前にチェック済みです。
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