夏本番。日差しは強まり、自転車で走るだけで汗が噴き出すような毎日が続きますね。
そんななかで、暑さと油断が生んだ『真夏のやらかしライド』のリアル実体験を集めました! 冷えたスイカを食べすぎてゲロ、ぬるいビールに心が折れ、一眼レフは熱暴走で沈黙。しょうもない話もあれば、あと一歩で危なかった話も。
この夏を乗り切るためのヒントが、ここにある……かもしれません。
失敗談1. 「スイカは飲み物じゃなかった」

暑さが厳しい夏の日、とあるヒルクライムイベントに参加した実業団選手でもあるばっしー。猛暑の峠を無事上り切り、頂上でふるまわれたのは、キンキンに冷えたスイカ! 疲れた体にはこれ以上ないご褒美です。あまりのうまさに夢中で食べてしまい、気づけば胃袋がスイカでパンパンに。
……そして迎えた下山タイム。ダウンヒルとスイカの冷え冷えコンボで、胃が大反乱を起こします。
ダウンヒル中に吐き気 → なんとか下山 → スタート地点に戻ったところで、完全にアウト。ゲロゲロライドの完成です。
やらかし防止の心得:ライド直後は、運動中に筋肉へ集まっていた血流がまだ戻りきっておらず、胃腸の動きが鈍くなりがちです。その状態で冷たくて甘いものを一気に摂ると、消化がうまく進まず、吐き気や不快感を招くことも。補給は、口当たりのよいものを少量ずつゆっくり摂るのがポイントです。
失敗談2. 「脂肪が燃えて、俺も燃えた」

体重100kg超えのヘビー級サイクリスト、おかだくん(buychari journal編集部員)。「体脂肪がこれだけあるんだから、補給とかナシで大丈夫やろ! むしろもっと脂肪を燃やしたいな」と頼ったのは、脂肪燃焼系のサプリ。
「これで痩せるはずや!」と気合い十分で、200kmのロングライドに挑みました。

ところが、夏のライドは甘くなかった。走行中はほとんど補給を取らず、終盤にはエネルギー切れでダウン。脂肪どころか、自分自身まで燃え尽きてしまう結果となりました。
学び:体脂肪は燃料になるとはいえ、もちろんそれだけで走りきれるわけではありません。とくに夏場は発汗や体温調整にもエネルギーを使うため、水分はもちろん、補給食も必須アイテム! 脂肪燃焼の前に、糖が切れてしまうとハンガーノック(体の燃料切れ)に陥り動けなくなってしまいとても危険です。真夏のライドでは水分(ミネラル)と糖分をしっかり補給しましょう!
>> あわせて読みたい
失敗談3. 「日焼けの主張が強すぎる」

夏ライドにつきものなのが、ウェアの跡がくっきり残った“おもしろ日焼け”。
サングラスの跡でパンダみたいになったり、ヘルメットの紐の跡がこめかみにバッチリ残ったり、時計のバンド部分だけ白かったり……そんな焼け方をしている仲間も少なくありません。
そして筆者(チャリ猿)も例外ではなく。ごらんください。


モンゴルライドと沖縄一周ライドでは、日差しが強すぎて日焼けが限界突破。夜は痛すぎて眠れないほどに焼けてしまいました。
ふだんは日焼け止めを使わない派なんですが、この2回だけは「やってもうた」と後悔するレベルでしたね……。
やらかし防止の心得:強い日差しは皮膚へのダメージだけでなく、疲労感や回復力にも影響します。こまめな日焼け止めの塗り直しや、アームカバーの活用など、体への直射日光はできる限り避けたいところ。日焼け対策は見た目だけでなく体調管理の一環として考えましょう。
失敗談4. 「永遠にスマホ操作できない絶望」

夏のライド中、暑さでかいた汗と、頭からバシャーとかける水。全身びしょ濡れになるのは、もはや夏ライドの恒例行事のようなものです。
そんな中で困るのがスマホの操作。手も画面も水浸しで、いくらタッチしても一切反応せず。 ナビを確認したくても、連絡を取りたくても、スマホはまるで沈黙を貫く仏のよう。
この状況、地味だけどまあまあの絶望感ですよね。
やらかし防止の心得:夏場のライドでは、汗や水でスマホが反応しなくなることも。乾いた布を1枚用意しておくと、いざというとき助かります。体験者であるばっしーは、ステムに手ぬぐいを巻いておくことで対処しているそう。
失敗談5. 「夢のビールが、ただの苦行に」

キャンプ場で飲むビールって、なんであんなに美味しく感じるんでしょう。アドベンチャーライドを愛する筆者ですが、あの日のぼくも、完全にそれを夢見てました。
真夏のキャンプライド中、途中のコンビニで買った缶ビールを、「これで完璧や」とグラウラー(ビール用の水筒)に入れて持参。

汗だくで目的地に着き、火をおこして、寝床を作って……いよいよ乾杯!とフタを開けた瞬間 ── 出てきたのは、ぬるくて、炭酸も抜けた、なんとも言えないキモい麦ジュースでした。
至福の一杯が、まさかの修行タイム。しばらく無言で夜空を見上げてました。
そのとき使っていたグラウラーは手ごろなものだったので、おそらく断熱性能はそこまで高くなかったのだと思います。猛暑+長時間の持ち運びには耐え切れなかったか……。
やらかし防止の心得:ビールは冷えてこそビール。夏場に無理して持ち運ぶより、ゴール地点直前のスーパーやコンビニで調達するか、ビールが売ってるキャンプ場を選ぶのが確実です! グラウラーを使うなら、真空二重断熱の高性能タイプがおすすめ。(値は張りますが)
失敗談6. 「何回パンクすんねん!」

真夏に日本縦断をしたというサイクリストからのエピソード。暑さが厳しい長距離ライドの途中、ひたすらパンクを繰り返す羽目になったそうです。
まさに「一生パンクしてた」と言いたくなるような状態。「さっきチューブ換えたのに、また!? しっかり空気も入れたはずなのに……」と、走っては止まり、修理してはまたパンク。
精神的にも体力的にもかなりシンドい、まさに地獄のループだったのだとか。
やらかし防止の心得:夏場は気温の上昇とともにタイヤ内の空気が膨張しやすく、内圧が想定以上に高くなることもあります。とくに長距離ライドでは、パンクリスクを下げるために、タイヤの上限空気圧の8~9割程度を目安に調整しておくと良いでしょう。
失敗談7. 「写真のために漕いでるのに」

最後にもうひとつ筆者のやらかしを。真夏の沖縄一周ライドの道中、強烈な日差しのなかで起きたトラブルです。
写真好きな僕は、一眼レフとともに旅を楽しんでいました。いつもどおりシャッターを切ろうとすると、なぜかカメラの電源がつかない! どのボタンを押してもまったく動かない……!?
あまりの暑さに、一眼レフが熱暴走を起こしてしまっていたのです。その日は昼以降ずっと写真が撮れず、翌朝には復活したものの、旅のハイライトを逃した喪失感は大きかった……。
僕の自転車旅の目的のひとつは風景を写真に残すこと。“撮るために漕いでる”ような旅で、カメラが沈黙したときの絶望感は、そうとうなものでした。
ちなみにそのとき、一眼レフはパニアバッグの一番外側、しかも生地の薄いポケットに入れていました。直射日光が当たりやすい位置だったのは、今思えば完全にアウトです。
やらかし防止の心得:夏のライドでカメラを持ち運ぶときは、カメラバッグに入れたうえで、さらにタオルなどでカバーするのがおすすめ。直射日光が当たりやすい場所での保管は、避けたほうが無難です。
笑えるうちに夏ライドの失敗に備えよう!
どの話も、こうしてネタにできるくらいで済んでいるから笑えるわけですが、年々暑さが増す真夏のライドはほんとうに油断できません。
スイカを食べすぎるのも、一眼レフを熱で失うのも、ぬるいビールを飲んで心が折れるのも、どれも“ちょっとの意識”で防げることばかり。誰かの失敗談を他人事として笑っていられるうちに、自分の備えも見直しておくのが吉です。
しっかり対策して、今年の真夏ライドもどうかご安全に!