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これが究極系!?激軽コンパクトなTPUチューブ『パープルライト』を使って分かった絶賛のワケ【パナレーサーの中の人にも直撃】

自転車のクリンチャータイヤのインナーチューブとして人気が高まっているTPUチューブ。中でもパナレーサー『パープルライト』の発売が話題になり、気になっている人も多いのでは?

「今までのチューブと何が違うの?」「かなり薄いけどデメリットは?」「初心者でも使えるの?」などTPUチューブにまつわる疑問をまるっと解決! 実際にテストしてわかった使い勝手や注意点をお伝えします。

TPUチューブとは?

この薄さ! Photo: 浅野真則

まずはTPUチューブとはいったい何なのか、一般的なチューブと何が違うのかを確認しておきましょう。

教えてくれたのは、日本のタイヤメーカーとしておなじみのパナレーサーの担当者・坂元一彦さん。TPUチューブについて素朴なギモンをぶつけてみました!

パナレーサー株式会社 坂元一彦さん

最近よく耳にする「TPUチューブ」ってそもそも何ですか?

TPUチューブとはウレタン樹脂を主な素材とするチューブです

樹脂なんですね! 一般的にスポーツ自転車に使われるチューブの素材って、ゴムですよね

そうですね、定番のブチルチューブやラテックスチューブはゴムが主な素材です。 対してTPUチューブはウレタン樹脂でできているので、素材の特性上、軽量かつコンパクトに折りたたむことが可能なんです

左がパナレーサーのTPUチューブ、右は一般的なブチルチューブ。ブチルのほうが細いチューブであるにも関わらず、TPUチューブの重量はおよそ2分の1になり、たたんだサイズもコンパクトだ Photo: 浅野真則

おお〜、比べてみるとコンパクトで軽いことがよくわかりますね! これだけ小さくて軽いなら、これからはTPUチューブ一択になるのでは……?

TPUチューブは「軽量」「コンパクト」と大きなメリットがありますが、デメリットもあります。熱に弱い特性があるので、たとえばリムブレーキを長時間使用してリム面が高温になるようなケースは要注意。耐熱性に関してはブチルチューブやラテックスチューブに軍配が上がります。ほかにもブチルチューブでやるようなパッチ修理は、TPUチューブではできなかったりします

なるほど、使い方によっては従来のチューブが適しているケースもあるんですね。TPUチューブがおすすめな人ってどんな人なのでしょう?

TPUチューブの大きなメリットが「軽さ」なので、足まわりの軽量化をしたい方にはおすすめできます。あとは、もうひとつのメリット「コンパクト」になる点から、予備チューブとしてサドルバッグなどに省スペースで収納したい方にもおすすめです

逆に、軽さやたたんだときのコンパクトさよりも、デリケートな取り扱いが気になる人はブチルチューブのほうがいいですね

TPUチューブの取り扱いがデリケートって、具体的にはどういうことですか?

TPUチューブは素材の特性上、一度伸びると元のサイズには戻りません。そのため一度太いサイズのタイヤに使用したチューブは、それより細いサイズのタイヤに入れて使うことができません。

またチューブ自体をパンク修理することができないので、貫通パンクが多い路面を走る場合は注意が必要です

パッチを使ってチューブの穴をふさぐパンク修理。応急処置として使われることも多いが、基本的にTPUチューブは対応していない

今、話題のTPUチューブ『パープルライト』は何が違う?

TPUチューブ自体は数年前から登場しており、いくつかの選択肢があるものの、「実際のところよくわからない」という理由でイマイチ手を出しづらい人もいたはず。

そんな中、2024年11月に発売されたパナレーサーのTPUチューブ『パープルライト』は、発売直後から品薄になるほどの人気。多くのサイクリストを惹きつけるパープルライトの魅力はどこにあるのでしょうか? 引き続きパナレーサーの坂元さんにお話をうかがいます。

パープルライトの発表時は大きな話題になりましたね。「あのパナレーサーからTPUチューブが出たぞ!」という声が多く聞かれました

そうですね、我々も予想以上の反響に驚いています

パナレーサーというブランド力も大きいと思いますが、ここまで評判になる理由はどこにあるのでしょうか。パープルライトの特徴を教えてください

先ほどTPUチューブのデリケートさや耐熱性の話をしましたが、そこをふまえて、パープルライトはTPUチューブでもより扱いやすくなるよう作りました。他のTPUチューブにない特徴として、電動ポンプを使える点があげられます。パープルライトはバルブの先端が金属製なので、使用時に発熱する電動ポンプも使えるんです

パープルライトのバルブ先端は金属製 Photo: 浅野真則

電動ポンプも問題なく使える Photo: 浅野真則

TPUチューブってバルブが樹脂製のものが多くて、高温になる電動ポンプは使えないことがほとんどですもんね。昨今ユーザーが増えている電動ポンプが使えることで、これを機に導入してみようって人がたくさんいそうです

さらにバルブの付け根にはスペーサーを着けて、上からリムナットで固定し、バルブ付近のダメージを少なくして耐久性も高めています。スペーサーはリムの形状にあわせて作っているので音鳴り防止の効果もあります

Photo: 浅野真則

TPUチューブの中には摩擦熱の問題で「リムブレーキの使用不可」というものもありますよね。パープルライトはどうですか?

パープルライトはリムブレーキでも使っていただけます。ただし、カーボンホイールのような熱を蓄えやすいホイールと組み合わせて使う場合は注意が必要です。たとえばヒルクライムの下山時のように、ブレーキをかけながら長い下りを走るようなケースでは、適宜休憩しながら走るようにしてください

パープルライトはコストも魅力! 価格とラインナップ

(右)ロードタイヤ用:税込1980円、(左)グラベルタイヤ用:税込2300円 Photo: 浅野真則

パープルライトの発表をうけて、その価格に言及するサイクリストも多かったですね。これまでのTPUチューブは高いものだと1本4000〜5000円はかかってきました。その点、信頼のパナレーサーのTPUチューブが2000円前後で手に入れられるというのは、継続利用を考えてもかなり嬉しい! ラインナップを教えてください

パープルライトのサイズはロードタイヤ用(23-32C)とグラベルタイヤ用(32-47C)の2つをラインラインナップしています。それぞれに65mmと85mmのバルブ長を用意しているので、幅広い用途にお使いいただけます

使えるタイヤやホイールなどに制限はありますか?

ホイールの種類についてはとくに気にせず使っていただけます。アルミリムでもカーボンリムでも使用可能ですし、昨今増えているフックレスリムのホイールでチューブレス(TL)/チューブレスレディ(TLR)のタイヤとの組み合わせも問題ありません。

パープルライトを使うことで、ブチルチューブを使うよりかなり重量を削減でき、走りが軽快になるはずですよ!

メリットがたくさんある魅力的なチューブですね。ありがとうございました!

TPUチューブの乗り心地は? 実際に試してみた!

TPUチューブのメリット・デメリットがわかったところで、やはり気になるのは実際の使用感や走行性能。ここからは、注目度ナンバーワンのパープルライトを使ってTPUチューブの使い勝手と乗り心地をチェック!

テストしてもらうのは、数多くのインプレッションを手がけてきた自転車ジャーナリストで、無類の青好き&立派なもみあげがトレードマークの “青ゴルゴ” こと浅野真則さんです。

浅野真則
専門誌やWEBなどで活動する自転車ジャーナリスト。レースからロングライド、ポタリングまで幅広く自転車を楽しむ。ロードバイクもグラベルバイクもチューブレス派だが、TPUチューブも使用経験あり。

 

使用タイヤ

  • ロードタイヤ:パナレーサー・アジリストファスト 700×28C
  • グラベルタイヤ:パナレーサー・グラベルキングX1 700

まるでホイールをアップグレードしたかのような軽快さ!

「TPUチューブの走りは、ブチルチューブと比べると明らかに軽快。チューブが軽くなると、車輪の外周重量が軽くなるので、とくに発進時と加速時、上りで軽快さを感じられます。グラベルバイクだとなお顕著ですね。太いタイヤはチューブも太くなる分、重量削減幅も大きく、より軽量化できます。

空気圧にもよりますが、他ブランドのTPUチューブと比べてパープルライトはチューブ自体にしなやかさがあって乗り心地も良好です。ラテックスチューブよりは若干硬めな印象ですね。

転がり抵抗も、ブチルチューブ使用時より少なくなるような気がしました。チューブ自体が滑らかな素材で、ブチルチューブ使用時よりタイヤとの摩擦が少ないからでしょうか」

「ホイールをアップグレードするには10万円単位の出費を覚悟しなければなりませんが、パープルライトなら前後合わせても数千円。TPUチューブの中でも手にしやすい価格帯です。

この価格でホイールをアップグレードしたかのような軽快さを味わえるのは魅力ですね」

使い勝手は? チューブレスと比べると?

「使い慣れたクリンチャー(チューブド)のタイヤシステムなので、圧倒的に扱いやすいです。チューブレスレディのようにシーラントを使わないし、ビードが上がらないということは皆無なので、装着時のストレスがありません」

「同じクリンチャーでも、ブチルチューブと比べるとたたんだときの体積もかなり少なくでき、携行品のサイズダウンにつながる点も高く評価したいです。予備のチューブとして持ち運ぶのにも最適。出先でもチューブを交換するだけで簡単にパンク修理ができますし、パープルライトは電動ポンプが使えるのもいいですね! とくにエアボリュームの大きなグラベルタイヤや、ロード用でも32C以上の太さのタイヤだと、電動ポンプが使えるメリットは大きいでしょう」

膨らませすぎには注意

タイヤにはめる際にチューブを軽く膨らませますが、TPUチューブはここで膨らませすぎないことが重要。TPUチューブは一度膨らむと元に戻らないからです。また、太いタイヤで使ったものを細いタイヤで再利用することもできないので、その点はブチルチューブのようにはいきません。

「いっぽうで、転がり抵抗の少なさと乗り心地の良さを両立する『空気圧のスイートスポット』はチューブレスタイヤより狭い気がしますね。TPUチューブもチューブの空気圧でタイヤをビードにはめているので、チューブレスのように乗り心地重視の低い空気圧で運用することが難しいからです。走りの軽さと乗り心地を高い次元で両立するという点では、チューブレスに軍配が上がるでしょう」

TPUチューブは総合力でトップクラスの実力

「実用面と走行性能の総合力で、TPUチューブは他のチューブやチューブレスと比べてもトップクラスにあると思います。これまでネックだった価格面も、パープルライトは手の届きやすい価格を実現していて、普段使いも十分可能なレベルです。

その上で、軽さと収納面のメリットをとるならTPUチューブ、低コストが最優先ならブチルチューブ、しなやかな乗り心地を重視するならラテックスチューブ、乗り心地重視の低い空気圧で運用しても転がり抵抗を少なくしたいならチューブレス、といった目安で選ぶことをおすすめします」

Text&Photo: 浅野真則

パープルライトでTPUチューブの軽さを試してみて

軽量かつコンパクトになるTPUチューブは、少しでも足回りを軽くしたい人や、携行時の収納スペースを節約したい人にとって、いまや外せない選択肢です。

そこにパープルライトが登場したことで、より多くのサイクリストにとってTPUチューブを導入するチャンスが生まれました。「信頼できるメーカーのものを使いたい」「現実的な価格のTPUチューブを継続して使っていきたい」「TPUチューブの空気を電動ポンプで入れたい」、そんな人にはパープルライトはうってつけです。

この機会に、あなたのライドでもぜひ導入してみてはいかがでしょう。

  • 記事を書いたライター
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浅野 真則

浅野 真則

さまざまな媒体で活動し、ロードレースからグラベルライドまで楽しむ自転車ジャーナリスト。無類の青好き×立派なもみあげのある風貌から「青ゴルゴ」と呼ばれる。ウェアやバイクも青一択で、欲しいバイクに青がないと新品でも青く塗装してしまう困ったヤツ。

  1. これが究極系!?激軽コンパクトなTPUチューブ『パープルライト』を使って分かった絶賛のワケ【パナレーサーの中の人にも直撃】

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