ロードバイク乗りなら、いつかはデビューしたいビンディングペダル。まさにビギナー脱却の登竜門ともいえる存在ですが、挑戦するにも一体何から始めればいいのやら……。ペダルを買えばOKなの? シューズはどうする? そもそもどうやってつけるの?
今回は世界的にも高いシェアを誇る大定番、シマノのビンディングを例に、ビンディングペダルの種類やグレードの違い、必須アイテム、ペダルのつけ外しや練習方法まで徹底的に解説します。
一度使いこなせばもうフラペには戻れなくなる、ビンディングペダルの世界に足を踏み入れてみましょう!
ビンディングペダル・シューズって?
ビンディングペダルとは、ペダルとシューズを固定することができるペダルのこと。専用のシューズにクリートと呼ばれるパーツを取り付け、そのクリートをペダルがキャッチすることでかっちりと固定されます。
メリットは、踏み込む動作だけでなく、引き上げる動作(引き足)によっても推進力を得られること。フラットペダルよりも使える脚の筋肉が増えるため、より速く、より楽に遠くまで走ることができるようになります。
そしてなんといっても、人馬一体ならぬ人車一体のダイレクト感はフラットペダルにはない魅力。ペダルに乗せている足が左右にずれたりしないため、安定して効率の良いペダリングができるようになり、力を余すところなくペダルに伝えてくれます。
ビンディングは2種類に大別できる
ビンディングペダルを作っているメーカーはシマノ、ルック、タイム、ワフー(スピードプレイ)などいくつかあり、ロードバイク or MTBの用途によって大きく2つに分けられます。
ここからは日本のみならず世界で圧倒的なシェアを誇る、大定番のシマノを例に話を進めます。シマノでは、ロードバイク用を「SPD-SL」、MTB用を「SPD」という名称で展開しています。
SPDとSPD-SLは何が違う?
「SPD-SL」と「SPD」とでは、シューズにクリートを取り付ける際のネジの数が異なります。ロードバイク用の「SPD-SL」は3穴タイプ、MTB用の「SPD」は2穴タイプと呼ばれます。3穴と2穴はそれぞれ専用のペダル、シューズ、クリートの組み合わせが必要になるため、「SPD-SL」と「SPD」の間に互換性はありません。
- ロードバイク用「SPD-SL」(3穴タイプ)
ロードレースのために作られたSPD-SLは、歩きやすさよりも「どれだけ効率的にペダルにパワーを伝えるか」に重点を置いて設計されており、広い接地面と高い固定力でパワーロスを減らしてくれます
- MTB用「SPD」(2穴タイプ)
MTBやシクロクロスで使われる「SPD」では、競技の特性上、歩いて自転車を押すシーンもあるため、「着脱のしやすさ・歩きやすさ」を重視。クリートは小さく、ソールに隠れるように設計されています
ロードバイクでもっと速く効率的に走りたいという場合には、SPD-SLを選ぶのが一般的。ということで、今回はSPD-SLについてお伝えしていきます。
ロードバイクにSPDはつけられないの?
ロードバイクでもMTB用のビンディングペダルをつけることは可能です。ロードバイクにSPDペダルをつけて、SPDシューズで乗る人も多くいます。SPDシューズの中にはスニーカータイプのものもあり、旅先での観光などでも快適です。
初めてのビンディングはシマノがおすすめ。支持される理由は?
ロードバイク・MTB用ともに、ビンディングペダルを作っているメーカーはシマノ、ルック、タイムなどさまざま。中でもやはり大定番は、世界的にも高いシェアを誇るシマノです。使っている人が多いのでトラブルがあったときにも相談しやすく、消耗品であるクリートも手に入りやすい。ビンディングデビューはシマノを選んでおけば間違いないですよ。
シマノのビンディングペダルは、8000円程度からラインナップがあり、初心者でも手が出しやすい価格なのも嬉しいところ。クリートはグレードを問わず共通なので、後々グレードアップもしやすいです。
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そんなシマノのビンディングペダルの特徴は、かっちりとした固定感と信頼性です。前者は好みによるところが大きいですが、後者は寿命の長さや故障の少なさにも関わってきます。
トッププロからホビーライダーまで、多くの人が愛用するシマノなら安心して使い始められるでしょう。
SPD-SLペダルのグレードとその違い
ここからはロードバイク用のSPD-SLにフォーカスして、特徴と選び方をチェックしていきましょう! ペダルもコンポーネントと同じようにグレードが分かれていますが、グレードによる差は一体どこにあるのでしょうか?
グレード (商品名) | 画像 | 重量 | 新品価格 | バイチャリ 中古価格 |
デュラエース PD-R9100 | 228g | 3万4822円 | 1万円〜 | |
アルテグラ PD-R8000 | 248g | 2万4828円 | 5500円〜 | |
105 PD-R7000 | 265g | 2万1597円 | 3000円〜 | |
PD-R550 | 310g | 1万3452円 | 1800円〜 | |
PD-RS500 | 320g | 8874円 | 1500円〜 |
①形状や素材が違う
トップグレードであるデュラエースは、カーボンコンポジットボディや負荷を分散するワイドベアリングを採用。クリートボルトも中空になっているなど、軽量化と剛性を高次元で両立しています。
その下のグレードであるアルテグラを見てみると、形状に違いがあることがわかります。肉抜き穴の大きさや素材感、ボディ形状の差が目に付きますが、特に踏み心地に関わる部分で大きく違うのは、スタックハイトと呼ばれる数値です。
これは、ペダルの厚み(中心軸と踏み面の距離)を表したもので、低い方がよりダイレクト感が得られます。デュラエースが14.6mm、アルテグラが15.8mm、その他は16.5mmとなっており、一見その差は小さいように思えますが、パーツ選びにシビアになる競技志向の人ほど、スタックハイトの低いペダルを選ぶ傾向があります。
②重量が違う
1gでも削りたいロードバイクにとって、重量は重要な問題です。シューズの重さも関係してきますが、一般的には軽いペダルほど疲れにくく軽快なペダリングになると言われています。
一番上のデュラエースと一番下のPD-RS500では、左右で92gの差。この差を生んでいるのは、やはり素材と設計です。デュラエースではボディにカーボンが使われていたり、強くて細いペダル軸になっていたりと随所に軽量化のための工夫が見られます。
とはいえ、両側で320gのPD-RS500でもフラットペダルに比べれば十分に軽量な部類ですから、最初から無理に軽量化を意識する必要はありませんよ。
③外しやすさが違う
クリートをキャッチする機構にはバネが使われており、固定力が強いほど外れにくくなります。このバネの固定力は調整が可能で、その範囲は105以上のペダルが4.5〜8.3kg、PD-RS500が3.0〜6.3kg。固定力を一番弱くできるPD-RS500は、クリートの着脱に不安のある初心者向きともいえますね。
シマノのビンディングシューズとクリートの選び方
シューズはSPD-SLのビンディングシューズを準備する必要があります。基本的にはSPDのシューズとは互換性がないので注意しましょう。(SPD-SLとSPD兼用ソールのシューズもあります)
SPD-SLのシューズはソールが硬く、歩きにくいものがほとんど。これはペダルを踏む力を余さず推進力に変えるためで、上級者向けのシューズになるとカーボン製の硬くて軽いソールを採用しています。
ただし、硬いソールを踏める足ができていないと疲れやすくなってしまうため、初心者のうちはしなりやすい樹脂製のものを選ぶのがおすすめです。
SPD-SLのクリートは3種類
SPD-SLのクリートには、黃・青・赤の3種類があります。それぞれ何が違うのかというと、ペダルにクリートを固定した際のフローティング(遊び)の量が違います。
ビンディングペダルはペダルとシューズを固定しますが、左右に若干動くように設計されていて、クリートを変えることでその動く量を好みのものに変えることができるのです。
黄クリートは左右合計6度で、ペダルを買うと付属してくるのもこの黃色。万人に使いやすいクリートです。
青は2度です。黃色だと動きすぎて気になってしまうという場合にオススメ。
赤は0度。完全に固定され、動きません。自転車のポジションやクリート位置の調整を含むペダリングが完成されている上級者向けのクリートといえます。
基本的には好みで選んで大丈夫ですが、左右の遊びが少ないほど膝などの関節に負担が掛かり、痛みが出てしまう場合があるので、まずはペダルに付属してくる黃色から使い始めるのが吉。上級者でも黃色を使っている人はたくさんいます。
また、クリートは基本的に一度取り付けたら、位置を調整するとき以外は交換の時期まで付けっぱなしです。位置が変わるとペダリングの感覚に大きく影響しますので、交換の際にはマーカーで印を付けたり、専用の器具を使うなどして同じ位置に取り付けるようにしましょう。
初めてのビンディング(SPD-SL)システムにおすすめなセット
- ペダル:PD-RS500
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- クリート:SM-SH11(黄色)
ビンディングペダル(SPD-SL)のはめ方と外し方
ビンディグペダルを取り付けたら、公道に出る前にキャッチ&リリースの基本を習得しましょう。焦らず安心して着脱できるようになると、実際のライドでも余裕が出てきます。
>>ロードバイクのペダルを外す方法・付け方をチェックしたい人はこちらから!
はめるとき「クイッ・カチャッ・パチン」の3ステップで
①つま先でペダル上部をツンと押し、②そのまま斜め下前方にシューズをすべらすようにスライドさせ、クリートをペダルの穴にひっかける、③そのまま押し下げればパチンとはまります。
SPD-SLのペダルは後ろ側が重く、常に上向きになっているので、つま先に集中して、まずはクリートの先端をペダルに引っかける感覚を掴みましょう。
引っかかったら、そのまま足全体を前方斜め下に押し込めばはまります。慣れると「クイッ・カチャッ・パチン」の3ステップではめられるようになるはずです。
やりやすいクランクの位置は3時前後。
つま先は引っかかるのにそのあとが上手くはまらない、というときには、つま先を下げて足を地面に突き刺すようなイメージでやってみるとコツを掴みやすいかも。
外すときはかかとをひねるだけ
外すのはシンプルです。つま先を起点に、踵を外側にひねるだけ。簡単ですが、これができないと転んでしまう原因になりますから、繰り返し練習しておきましょう。
SPD-SLの場合、バネの固定力が強い設定になっていると意外に強い力が必要です。まずは一番弱い力に調整してから練習するのがオススメ。
走行中から停車するときには、20〜30m前から「あそこに足を着こう」とイメージして、慣れないうちは早めにクリートを外しておきます。停車の直前に足を前に出しつつ着地するとスマートです。
走り出すときは「まずは右から&はまらなくても大丈夫」を意識
日本は左側通行なので、停車時は左足をついているのが一般的。トップチューブにまたがるように立ち、まずは右ペダルをはめましょう。そして、右ペダルを踏み出しやすい位置に持ってきたら、前を見ながらペダルの上に立つようなイメージで踏み込みます。
走り出してスピードに乗り車体が安定したら左ペダルをはめますが、ここで焦ってはいけません。
ペダルにクリートがはまっていなくてもペダルを踏むことはできるので、まずは踏んでスピードに乗せることを意識。安定してから、足裏でペダルを探してキャッチします。このとき、下を向いてペダルを探すのはとても危険。しっかり前を見つつ、足裏の感覚ではめましょう。
立ちゴケしないコツを知れば怖くない!
ビンディングデビューの際に一番怖いのが立ちゴケですよね。止まってもペダルから足が外れずにそのまま倒れたり、足をつく位置が自転車に近すぎてバランスを崩してしまったり。いろいろと原因はありますが、なるべく立ちゴケしない方法はいくつかあります。
まず、停車するときに足が着く位置を自転車から少し離すこと。地面につく側の足ではなく、ペダルに乗せている足に重心が乗ると立ちゴケの原因に。
左側通行の日本の道路では、左足で着地するのが基本ですが、たとえ左に足が出ていても荷重が抜けると反対の右側にテコの原理で引っ張られます。(とくに右足が6時の位置のとき)
また、地面についた足が車体に近すぎると、重心がその足のさらに外側にかかって左側に立ちゴケする原因に。
いずれの場合でも、足を遠くに着地すると重心が地面側の足にしっかりと乗ってくれ、バランスが取りやすくなります。
そして、停車するときにハンドルを少しだけ右に切ること。左足をつく際、右側に荷重がいかないようにハンドルを軽く右に切るクセを付けるとより安心です。車体はハンドルを切った方向と反対に倒れる特性があるので、万が一立ちゴケしてしまっても左側に倒れやすくなります。
壁に手をついて着脱を特訓!反復練習が大事です
立ちゴケは誰もが一度は経験するといわれるもの。過度に怖がらず、体で覚えるくらいの気持ちでチャレンジする姿勢も大事なのかもしれません。とはいえ、練習は必要ですよね。
とにかく大切なのは、着脱をスムーズにできるようになること。停止時の乗り降りをイメージしながら練習を行うことが大切です。
一番はローラー台に固定して、立ちゴケの心配がない状態で何度も付け外しできるといいですが、初心者のほとんどの人はローラー台を持っていないはず。そこで、壁やフェンスに手をついて行う方法もあります。
車体を壁側に少し傾けた状態で行えば、万が一のときも支えになってくれます。このとき、先に外側の足をペダルにはめて壁に手をついてサドルに座り、壁側の足で付け外しを練習するようにすれば、より安心です。
実際にビンディングにしたらどれだけ変わる!? アップダウンのあるコースでチェック
実際に初心者がビンディングデビューするとどうなるのか? buychari JOURNALでは、その様子を動画で検証。フラペ女子「サキちゃん」のSPD-SL初挑戦に密着しました。
ビンディングペダルで、ワンランク上のサイクリングを!
いつかはビンディングデビューしたいけど、怖くて二の足を踏んでいるという方、多いのではないでしょうか。でも、ビンディングの仕組みや着脱のコツを知って、少しはその怖さも薄れてきたはず。
国内最大級の規模を誇るリユース自転車専門店「バイチャリ」では、ペダルやシューズも取り扱っていますから、ダメもとで使ってみるのだってぜんぜんOKです。
ちょっと練習をつめば誰でもマスターできるようになるので、尻込みせずにチャレンジしてみましょう! ロードバイクがもっと楽しくなりますよ!
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