薄いソールで地面の感触をダイレクトに感じることができる「ベアフットサンダル」。ランニングの世界ではよく知られたサンダルですが、それが今、自転車シーンでも人気が高まってきているんだとか。
自転車で人気なのはなぜ? あの薄いソールのサンダルでペダリングはできるのか?
ベアフットサンダルはランニングで使用経験あり(しかも挫折!)のライターKONが、最新のベアフットサンダルにまつわる疑問を解消するべく、専門店でお話を聞いてきました。
ベアフットサンダルって何? 自転車でもジワジワきてるってホント?

ロードバイクやクロスバイクに乗っているみなさん! 夏の足元、どうしてますか?
私は基本的に自転車専用のシューズを履いていますが、近くの移動の時にはサンダルを使うこともあります。つま先を風が通り抜けていく心地良さがあるサンダルは、夏ならではの自転車の楽しみですよね。
中でも、今回取り上げるサンダルは『ベアフットサンダル』と呼ばれるもの。まずはベアフットサンダルが何なのかを解説していきますね。

ベアフットサンダルは簡単にいうと「裸足感覚のサンダル」のこと。薄く柔軟なソールが特徴で、地面の感触をダイレクトに足に伝え、足裏の感覚器や足本来の筋力を活性化させる効果があります。これにより自然な着地やフォームの改善、バランス感覚の向上、怪我の予防などが期待できるとされているサンダルなんです。

ランニングも嗜む私は、何を隠そう、かつてはベアフットサンダルの「ワラーチ」を履いていたことがあります。あれはもう10年以上前、ランニングの世界で静かなベアフットサンダルブームが起こって、それに乗っかったカタチ。
路面状況をダイレクトに感じられる感覚、つま先を風が通り抜ける感覚は、たしかにランニングシューズでは味わえないものでした。でも同時に痛感したのが「防御力のなさ」。尖った石を踏んだ日には悶絶級に痛いこともありますし、アスファルトの上で走るとクッションがなさ過ぎてヒザも痛い。それを乗り越えてしっかり走っている方もいるのですが、私のワラーチライフは短命に終わりました……(今思えばもうちょっと頑張っても良かったかもしれない)。

そんな経験があるもんですから、今回の「自転車でベアフットサンダルがじわじわキテる」というテーマ、懐疑的でしかなかったんですよ。だって自転車のシューズって、ソールを硬いものにすることで、パワーを逃がさずに効率的なペダリングができるようになっているから。硬さとは反対のぺらぺらのベアフットサンダルじゃ踏みにくいだろうな、と単純に思った次第。
ただ編集担当いちなほ氏が言うには、OMMのようなアウトドアレースに出る人や、旅系サイクリスト、バイクパッキングを楽しむ自転車乗りには着実に人気が出てきているらしいと。いやむしろ知ってて当然ぐらいの認知度はあると! ホントか〜?
そのあたりの事情を詳しくうかがうべく、東京・吉祥寺にあるアウトドアライフを楽しむ人のためのセレクトショップ「vic2(ビックツー)」に行ってきました。
いまアツいのはこの2つ!ルナサンダルVSベッドロックサンダル

ランニングや自転車など、自身の目で厳選したこだわりのアウトドア商品を豊富に取り揃えるショップ、vic2(ビックツー)。代表の中村淳さんにお話を伺いました。

── 10年くらい前にワラーチでランニングをしたことがあるんですが、ちょっと続かなくて……。そもそも自転車でベアフットサンダルって乗りにくいんじゃないかと思っているんですよね。
中村さん:その当時から考えると、ベアフットサンダルってかなり進化していますよ。名前は同じ“ベアフットサンダル” ですが、クッション性や履き心地、フィット感の面で当時とは全く別のものです。もっともランニングでダイレクト感を求める人は、今もあえて当時のソールが薄いシンプルなものを使い続けていたりしますが。

中村さんがおすすめするのは『ルナサンダル』と『ベッドロックサンダル』の2ブランド。ルナサンダルはベアフットサンダルの草分け的な存在で、昔から愛用者が多い定番中の定番。一方、ベッドロックはここ数年でググッと人気を伸ばしてきた新鋭。どちらも独自の方向性でサンダルを作っているブランドです。
── この2つのブランドがイイ理由は何ですか?

中村さん:ルナサンダルは「はだし」を感じる伝統派という感じ。まさに「ワラーチ」の現代版です。ソールは薄めで、足に吸い付くような感覚が特徴。「走るサンダル」としてのルーツを感じますね。シンプルだけど、フィット感など細かい部分を進化させているブランドだと思います。ベアフットサンダルとして長く愛され続けている信頼感もありますね。

中村さん:もう一方のベッドロックサンダルは、進化系のベアフットサンダルといってもいいと思います。ルナに比べてソールの厚みもあり、さらにクッション性もあって、履き心地が柔らかいのが特徴です。全体的に快適性が高いのですが、とくに注目したいのは鼻緒の部分。よくあるストラップ状ではなく丸紐の形状で、親指と人差し指の付け根への肌当たりがまろやかなんです。初めて履いてもスレにくいと思いますよ。

── 昔履いていたベアフットサンダルと全然違いますね! ランニングシューズのテクノロジーが取り入れられている感じもあります。……でもやっぱり自転車となるとどうなんだろう。自転車でも人気の理由って何なんでしょう?
中村さん:私のお店ではランナーやトレイルランナーの方へ販売することが多いのですが、自転車でベアフットサンダルを使いたいお客さんもいらっしゃいます。自転車用途で選ばれる理由は「携行性」と「汎用性」が大きいでしょうね。ベアフットサンダルの大きな特徴である「薄さ」もありますし、もちろん「軽い」。バイクパッキングのバッグの隙間にサッと忍ばせられますし、専用シューズで走った後にベアフットサンダルに履き替えてキャンプサイトでリラックス、なんてシーンには最高でしょうね。川にドボンも問題ナシ!

── なるほど、自転車とその先のアクティビティが組み合わさったときはバツグンに相性がいいわけですね! でもOMMを見ていると、なんだかみんなレース中にも履いているんですよ。ソールが薄いベアフットサンダルはふにゃふにゃしていてペダリングしにくいように思えるのですが……。
中村さん:そのあたりの部分も進化しているポイントだと思います。サンダルを触ってみてください。薄くはあるんですが、かなりしっかりしていて安定感があるつくりだと分かりますよ。

中村さん:ある程度の硬さもあるので、想像以上にペダリングもしやすいんですよ。
── たしかに昔使っていたベアフットサンダルとは違って、ソールがしっかりしていますね。フニャフニャしない。これなら足裏のサポート感もあって、ペダリングしてもロスが少なくパワーが伝えられそうです。
中村さん:元々はトレイルを走るものなので、ソールの素材や形状にも特徴があります。ルナもベッドロックも、基本的にビブラムソールを採用しています。

── 本当だ、ビブラムソールなんですね! 私が使っているトレッキングシューズやトレランシューズにも使われていますよ。
中村さん:ビブラムソールは、もともと登山靴のために開発されたアウトソールです。濡れた路面や不安定な場所でも滑りにくいグリップ力と、長期間の使用に耐える耐久性が特徴。地面をしっかりグリップするのに、ソールは薄く作れるようになって、足裏の感覚を生かすベアフットサンダルには最適なんでしょう。
── はだし感覚というベアフットならではの特徴と、ペダリングにもきちんと適応するバランスが絶妙ですね。そう考えると、OMMなどのアウトドアレースでは、自転車に乗ることもあれば、降りて押し歩いたりもするので愛用者が多いのも納得です。

── あらゆる機能をそぎ落としたシンプルなものがベアフットサンダルなんだと思っていたのですが、ルナとベッドロックのベアフットサンダルはもはや高機能シューズに近いですね。
中村さん:そう思いますよ。スピードを追い求めないカジュアルなライドなら、長距離でもベアフットサンダル一足で走っていけます。もちろんライドでは自転車用のシューズを履いて、川遊び用にベアフットサンダルを持っていくのもいいですね。
── ベアフットサンダルのコンパクトさが活きてきますね。10数年前のベアフットサンダルと比べると段違いのつくりに驚きました。走れるし、自転車にも乗りやすい、これは夏の新定番になりそうです!
中村さん:夏の足元はもっと自由でいい、そんなことを教えてくれる一足だと思いますよ!
自転車にも最適なおすすめベアフットサンダル6選

ここからはルナサンダルとベアフットサンダルそれぞれのモデルについて深堀りしていきます。それぞれのメインモデルを3つずつ、実際に試着して比べてきたので、その違いをわかりやすく紹介します。
最後には自転車乗りが選ぶべき「ライターKON的ベストチョイス」も!
【ルナサンダル】シンプルで性能よし、コスパ◎!
まずはベアフットサンダルとして名高いルナサンダルから。手に入れやすい価格と、長い人気に裏打ちされた品質が魅力です。
シンプルデザインが魅力!「 LUNA SANDALS Mono(モノ)」
裸足感覚と扱いやすさのバランスを追求したルナサンダルといえば、モノ。今回紹介するモデルはすべてビブラムソールを採用しているのですが、このモノのビブラムソールは、約15mm厚の『Vibram® Morflex』ソール。グリップ力とクッション性のバランスがとれたモデルで、自転車のペダリング時も足裏の感覚を掴みやすく、効率的かつ快適な足運びをサポートします。
ルナサンダルらしいシンプルなストラップ構造で足との一体感が高く、街乗りやサイクリングにも最適なオールラウンドモデルです。
重量:167g(片足)
参考価格:13,970円(税込)
厚めのソールで、クッション性をプラス「 LUNA SANDALS Oso(オソ)」
ルナサンダルの中で厚いクッションを選びたいならオソ! テクニカルなトレイルやタフな環境に対応しつつ、17.5mmという厚いソールで高いグリップ力とクッション性を高めたモデルです。
ビブラムの中でも屈指のグリップ力を誇るハイパフォーマンスコンパウンドの『Vibram® Megagrip』ソールを採用。自転車でのオフロード走行やダウンヒルにおいても、ペダルへの確実な食いつきと足元の安定性で、タフなトレイルライドをサポートしてくれます。
耐久性も高く、本格的なアウトドアシーンで活躍するモデルです。
重量:260g(片足)
参考価格:15,730円(税込)
はだし感を最優先するならコレ一択!「LUNA SANDALS Venado(べナード)」
最軽量かつ最薄のルナサンダルがこのベナード。はだし感覚が強く、元来のベアフットサンダルらしさを味わいたいならベナードから始めましょう。
9mmのビブラムソールはモノより薄く、ペダリング時もまるで裸足のまま走っているような感覚が得られるでしょう。軽量でしなやかなソールは足の動きを妨げず、自然にパワーを伝達するほか、やさしいフィット感がありペダリングでも足がブレません。
足元をより解放したい人におすすめ。今回紹介するベアフットサンダルの中でも最安となる価格も魅力です。
重量:125g(片足)
参考価格:12,980円(税込)
【ベッドロックサンダル】快適なのにはだし感もある進化系ベアフット!
次に、サイクリストの間でも新定番になりつつあるベッドロックサンダルを。はだし感と履きやすさを両立した、進化系ベアフットサンダルです。
ベッドロックのスタンダート「BEDROCK SANDALS ケルン エボ」
ベッドロックのサンダルシリーズである「ケルン」。従来のケルンからマイナーチェンジを経て、現在では「ケルンエボ」シリーズとして展開されています。
そのうちこの「ケルンエボ(無印)」は、オールラウンドなベーシックモデル。「エボ」に進化したことで、ビブラムソールも『Vibram® XS Trek Evo』になりました。従来モデルとくらべてとくに柔軟性と、濡れた路面でのトラクションが増しています。
トレイルやハイキングで力を発揮するサンダルは、自転車でのロングライドでもペダルへの密着感を高め、足への負担を軽減しながら安定したペダリングを体感できるでしょう。
重量:約223g(片足)
参考価格:22,000円(税込)
厚いクッションが快適、なのにベアフット感もある!「BEDROCK SANDALS ケルン エボ C」
ベッドロックサンダル史上、もっとも厚いソールをもつのが「ケルン エボ C」。ラインナップ中もっとも快適性の高いコンフォートモデルです。
実際に履いてみると、たしかにベアフットらしく大地を感じるのに、快適なクッションに足がつつまれている感じもある、不思議な一足。そのヒミツは、極厚ソールでありながら、形状はかかととつま先の高低差の無いゼロドロップにしてあるから。ベアフットサンダルの「足裏全体で地面をとらえ、足本来の機能を取り戻す」というコンセプトはしっかり守られているのです。
はじめてベアフットサンダルに挑戦する人にもピッタリなモデルです。
重量:273g(片足)
参考価格:25,300円(税込)
テクノロジー全部盛りのハイエンドモデル「 BEDROCK SANDALS ケルン エボ 3D プロ」
ベッドロックのラインナップ中、もっともパフォーマンスの高いモデルが「ケルン エボ 3D プロ」。ビブラムソールも、これまたハイパフォーマンスとされる『Vibram® Megagrip』(ルナサンダルのオソと同じ)を採用。ウェットコンディションのグラベルライドでも驚異的なグリップ力を実感できるでしょう。
フットヘッドは3D成形で、ベアフットサンダルの特徴であるゼロドロップは踏襲しながら、より足裏・足先の凹凸にフィットするよう形づくられています。
快適性とパフォーマンスを求める方に最適な一足です。
重量:約250g(片足)
参考価格:26,400円(税込)
どちらを選べばいい? ルナVSベッドロック比較表
ルナ | ベッドロック | |
フィット感 | 足に吸い付くようなフィット感。より裸足に近い。 | 足裏に沿う立体形状で包み込むようなフィット感。ちょっと厚手。 |
足裏感 | 地面の状況がダイレクトに感じられる。 | 程よいクッションでマイルドに。 |
ペダリングとの相性 | ソールの薄さでダイレクト感あり。裸足感覚を重視する人に。 | クッション性で足裏の負担を軽減。バランス重視。 |
価格 | 1万円台 | 2万円台 |
おすすめタイプ | シンプルさが魅力なのでミニマル志向、より裸足感覚を追求したい人。 | 快適性を重視しつつ、裸足感覚も欲しい、自転車旅や街乗りメインの人。 |
ライターKON的、自転車用のベストチョイスはコレ!
さて、実際に見て、触って、聞いてきた結果、ライターKONが自転車乗りとしてサンダルを選ぶならズバリ! ベッドロックサンダルのクッションモデル『ケルン エボ C』です。
やはりさすがのコンフォートモデル、足裏にフィットする形状とクッション性がかなり気持ちいい! 試着してみてすぐにわかるほどの快適性で、これまでのベアフットサンダルの概念がガラリと崩れた一足です。普段ランニングするときには、クッション性の高いモデルを愛用しているんですが、そのクッション性がベアフットサンダルでほぼ再現されているところに驚きました。
調整の幅が広いところもベッドロックの大きな魅力。3箇所の調整位置のおかげで、足の形状にあわせた細かいフィッティングが可能
またベアフットサンダルの魅力である「軽さ」「携行性」「裸足感覚」といった部分はしっかり押さえつつ、このタイプのサンダルにありがちな鼻緒のストレスが少ない作りが最高! いきなり履いてもスレがなさそうだ ですし、ここは実際にルナサンダルと比べても一歩抜きん出てるなという印象です。
一方で、ルナサンダルの純粋なはだし感覚もかなり魅力的です。しかも価格が安い!
この2ブランド、かなり迷いどころではありますが、私にとって今回のようにラフに自転車に乗るときの相棒となると、やはりある程度の快適性は欲しいところなので、ベッドロックが好みですね。とくに長距離を走って、多少歩くことも考えるとサイクリストにとっては、このクッション性があるに越したことはないはず。
ベッドロックサンダルはどのモデルもルナサンダルよりワンランクお値段がアップしてしまうのですが、『ケルン エボ C』は予算を上げてでも選びたくなりました。
山も旅も街乗りも!1足で完結する“万能サンダル”
「ペラペラで使いにくい」というベアフットサンダルのイメージは、もう過去のもの。ルナサンダルやベッドロックサンダルに代表される最新モデルは、高機能なソールと工夫されたストラップで、驚くほどのフィット感とクッション性を提供してくれます。
長時間のライドでも足への負担が少なく、自転車旅での持ち運びやすさ、サイクリング中のペダリング効率、そしてライド後のリラックスタイムまで、これ一足でぜんぶ対応できる万能性は、夏の自転車シーンをより楽しくしてくれるはず! 夏の足元をもっと自由にする最新のベアフットサンダルを体感してみては。
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