オールドMTBの魅力と聞いてまず思い浮かぶのは、やはりそのルックスでしょう。ちょっと懐かしいフレームデザイン、独特のカラーリング、いまでは見かけなくなったパーツ。
そんなオールドMTBの持ち味に加えて、もうひとつの魅力「蘇らせる楽しみ」を教えてくれたのはバイチャリ熊谷店の榎本さん。当時のパーツをあえて残し、キレイにして、いまの自分の自転車としてもう一度乗る。
自身が所有するジャイアントとアラヤ、2台のオールドMTBを見せてもらいながら「手をかけて乗る」という楽しさを聞きました。
アメリカデザインのジャイアント。当時のパーツを残して、キレイに蘇らせる

最初に紹介するのは、ジャイアントのクロモリ製マウンテンバイク『HARDLINE(ハードライン)7000』。90年代に販売されていた “ちょっとオールド” なMTBです。もともとバイチャリにあった一台で、フレームだけでなく車体一式がまるっと残っていて、状態も悪くなかったそう。
「ハードライン7000は、当時の普及価格帯ということもあって街乗りで酷使されていたものも多く、ここまで綺麗な状態で残っているものはかなり珍しいと思います。気がついたら保護してしまっていました(笑)」



なんだかこのままでも使えそうなものですが、さすがにそこは現役のバイチャリ社員。気になるところが盛りだくさん。
「タイヤやワイヤー、ブレーキシューなどの消耗品は交換。くすんでいた部分はしっかりと磨いていますし、ディレーラーやハブ、ヘッドまわりもすべてバラしてキレイにしました」


新しいパーツに交換するのではなく、できる限り当時のパーツのままで蘇らせるのが榎本流。

「シフターは『GRIP SHIFT』で、SRAM(スラム)が1987年に創業したときの最初の製品ですね。その名の通り、ハンドルのグリップ部分をひねって変速します。いま主流のトリガータイプのように、レバーをカチカチ操作するタイプのほうが使い勝手はいいと思いますが、これはパーツ自体が貴重だし当時の雰囲気を感じられるのでそのまま使っています」



「走りは絶対、イマドキのクロスバイクのほうがいいですからね。でも、そういうことじゃない。え、軽さ? ぜんぜんない、ぜんぜん重いです(笑) でも、そういうことじゃないんで」

名車『マディフォックス』もそのままピカピカに
そして今回はもう一台。アラヤの『Muddy Fox(マディフォックス)』です。

ご存じマディフォックス。1982年に登場した日本国内初のマウンテンバイクで、第一次MTBブームの頃に最も輝きを放ったモデルのひとつです。
そしてこのマディも同じく榎本流。昔のパーツを残したまま、キレイに生まれ変わっています。入手時の状態はよかったものの、やはり手入れが不可欠。








「もちろんここまでやり直さなくとも十分乗れる状態だったのですが、部品が本来持っている性能を最大限まで発揮させるため、ぜ~んぶやっておかないと気がすまない体になってしまいました。病気です(笑)」



このマディフォックスもシルバーのパーツが多く使われています。くすんだパーツもしっかり磨き上げると、ちゃんと光沢が戻ってくる。新品のパーツを用意して取り付けるのとは、また違った味わいがありますね。
しかし榎本さん、すでにジャイアントを所有しているわけで、いったいどうしてまた似たような一台を……?

「いやいや、似てないでしょう!(笑) 細身のホリゾンタルフレームのMTBは魅力ですよ。ホリゾンタルのマディって意外と出てこないですからね」
なるほど。さらに細かく見せてもらうと、当時らしいパーツが付いていることに気づきます。

「当時のままのシフターなので、フリクション式といって、レバーを動かした分だけ変速する仕組みです。どこで止めるかは自分で調整する必要があるので、ちょっと操作にコツがいります。いまのインデックス式みたいに「カチッ、カチッ」と変速位置が決まっているほうが使い勝手はいいんですけどね。でも、そういうことじゃないんで(本日n回目)」

フロントはカンチブレーキ、そしてリアはUブレーキがこの位置に。チェーンステー下部、クランクの裏側に取り付けられています。(なんてメンテナンスしづらそうな位置なんだ……!)

待ってください。チェーンリング、よく見ると楕円じゃないですか?
「そうですね、シマノの楕円リングです。バイオペース。イマドキのいわゆる楕円チェーンリングと、このシマノのバイオペースは、楕円の向きが90度違うんです。速く漕ぐというよりは、ラクに漕ぐ観点のほうが強い製品だったと思うんですが、性能はまぁよくわからないです(笑)」
>> バイオペースが気になった人は 動画でも解説しています!
そして後付けパーツも見逃せません。なんですか、このでっかいフロントライトは。

「これは昔のキャットアイのハロゲンライトです。いまのLEDライトと違って、電気を熱に変換して発光させるもので、単3形の乾電池が4本も必要なんです。だからライト自体も大型になってしまってますね。これもまた、あえて当時の雰囲気を楽しむために付けています」

榎本的オールドMTBの楽しみ方「手をかけて、もう一度ピカピカにして乗る」
古いパーツには、最新モデルにはない形や質感があります。古くて汚いからと新しいものに交換するのではなく、「せっかく残っているんだから、キレイにして使ってみよう」という発想が、今回の2台に共通した楽しみ方です。
どちらも現代の自転車と比べれば、軽さや操作性でかなわない部分もあるでしょう。それでも、当時のシフターを操作したり、くすんだパーツを磨いたり、いまでは見かけなくなったアクセサリをあえて使ってみたり。乗ることだけでなく、手をかける時間まで含めて楽しめるのが、オールドMTBの魅力なのかもしれません。
「僕の場合、現代的な構成にカスタムするといったことはないので、見た目はものすごく普通な “おじいちゃん自転車” ですが、乗ってみるとありえないくらい調子が良くてきれいな状態を目指しています!」

オールドMTBは比較的手を出しやすい価格で、部品の規格やメカの構造もさほど複雑ではない。古い自転車を自分の手で蘇らせ、きれいにして、また日常的に乗る。そんな楽しみ方を始める「旧車入門」としても、オールドMTBはちょうどいい存在なのかもしれません。
DIY派の人はもちろん、そうでない人も、オールドMTBや旧車に詳しいスタッフも多く在籍するバイチャリに相談してみてください! 古い自転車だからこそできる楽しみ方を、一緒に探してみませんか。
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