ブランドによって、違いはちゃんと存在する!

ロードバイクのホイールって、ぱっと見ほとんど一緒じゃないですか。どれもブラックやシルバーを基調としたデザインに、無駄のないフォルム。見た目だけではどうも特性がわかりにくいんですよね。
でも、よーく見ると、そこにはブランドの個性がしっかり盛り込まれていて、ブランドによって明確な「違い」がちゃんと存在するんです!
だからこそホイールを選ぶ際には、それぞれのホイールブランドがどういう個性を持っていて、どんな特性があるのかをちゃんと知っておきたい。本当に詳しい人に信頼できる情報を教えてもらいたい。
そこでスペシャリストの出番です! 業界を深く知るレジェンド岩田さんに、ブランド忖度が必要ないbuychari JOURNALだからこそ許される(?)アレコレを岩田節満載で語ってもらいます。
あ、でも岩田さん、初心者にもわかるように、お手柔らかにお願いしますね!
レジェンド解説、9つのホイールブランドに見る個性

岩田淳雄
サイクルスポーツ、バイシクルクラブという2大自転車メディアの編集長としてサイクルライフに長く関わる。最近はその経験を生かしてスポーツサイクル関連のアドバイザー、コンサルとして事業を立ち上げ、ペダルプッシャーという屋号で活動。
自転車関係ならなんでもおまかせ!な、まさにレジェンド的存在。
どうも岩田ですー! うーん、初心者にもわかりやすく、忖度のない鋭い舌鋒で、しかも面白く……。まさしく俺にしか書けない原稿じゃないですかー(笑)!!
というわけでさっそく行ってみましょう。でも主要ブランドって言ってもなあ。まあたくさんあるホイールのブランドのなかから、比較的手に入れやすいメジャーブランドを厳選、ってことで9ブランドを選んでみました。たくさんあるからケイデンス上げて解説していくよー。
あ! 忖度なしなんで(笑)、メーカーの人は読まなくていいですからね。というか読んじゃダメですからねー。
主要ホイールブランド①泣く子も黙る世界の「シマノ」

主要なホイールブランドってことで、まずはSHIMANO(シマノ)を語らずして何を語る、ってとこかな。
もともとコンポーネントメーカーなんで、ホイールに参入したのは最近ってイメージなんだけど、それでももう四半世紀前。いまやトップエンドから廉価版まで、迷ったらシマノだろ文句あんのか、ああん?ってほどの完成度。

精緻の極みを見せるデュラエースのホイールは工業製品として最高峰。後光が差すほどのプレミアム感。ディスクブレーキの時代になってオラオラ感を増し、最新モデルは各方面で絶賛の嵐。
どんなフレームと組み合わせてもよく走る。なかでもデュラエースのC50は神ホイールと称されております。
主要ホイールブランド②ロードホイール界の帝王「カンパニョーロ」

オジサン世代にとってシマノ以上の神通力をもつイタリアの雄、Campagnolo(カンパニョーロ)。「ボーラウルトラ」という呪文を唱えれば、40代以上のロードバイク乗りはその場にひれ伏すわけです。
シマノと同様コンポーネントメーカーのホイールなんだけど、アルミもカーボンも評価は異様に高く、しなやかなのによく進むカンパニョーロらしさはすべてのホイールのベンチマークだった。ただディスクの時代になってそんな味わいが薄れたことを惜しむファンも多いのは事実。

しかーし! 現在のトップグレードであるボーラウルトラWTOは、性能だけでなく仕上げやロゴデザインなどいかにも高級品という作り込みでマニアを狂喜させている。ロードホイール界の帝王の座は揺るぎそうにもないね。
▼今の上品なボーラもカッコいいけど、やっぱりボラウルは目立ってナンボ!な人はこちら

>> CAMPAGNOLO 「カンパニョーロ」 BORA ULTRA 50 AC3 シマノ11速 ホイールセット / 伊勢崎店
主要ホイールブランド③レース志向の精鋭「フルクラム」

カンパニョーロの兄弟ブランドとしてスタートしたFULCRUM(フルクラム)。「シマノコンポーネントのロードバイクにカンパのホイールじゃブランドが合ってなくてダサいじゃん? でもこれはカンパじゃないからいいんだもんね」。そんなユーザー心理につけこんだカンパニョーロの戦略兵器だったワケ。
当初はカンパニョーロとラインナップも似たり寄ったりで、名前とスポークパターンが違うだけでリムは同じ、価格もほぼ同じというモデルが多かった。

しかし今はカルトベアリングなどカンパニョーロの技術のおいしいとこはいただきつつ、別系統の開発を加速させ、カンパニョーロがラグジュアリーなら、フルクラムはレーシーさで勝負だ!と独自の道を突き進んでいるのです。
▼アルミホイールの最高峰『レーシング ゼロ』、通称レーゼロ! リムブレーキでもブラックリムが使えるレーゼロナイトは見つけたら買い!

>> FULCRUM 「フルクラム」 RACING ZERO NITE C15 シマノ11速 ホイールセット / 横浜戸塚店
主要ホイールブランド④技術革新の先駆者「マヴィック」

ロードレースの最高峰といえばツール・ド・フランス。そしてツールといえばMAVIC(マヴィック)。マヴィックと聞けばツールでスペアホイールやバイクをルーフに載せたマヴィックカーを思い浮かべるレースファンは多いよね。

1889年創業の伝統的フレンチブランドで、ホイール(もとはリム)専業だと思われているけど、じつはウエアやシューズもリリースする総合ブランド。一時はコンポーネントや、なんと1980年代には飛行機まで(!)作っていたイケイケなブランドであることはあまり知られていない。まービックり。
カーボンリム、チューブレス、カーボンスポークなど、技術革新の先駆者であることも忘れちゃあいけない。
主要ホイールブランド⑤タイトル総ナメ、エアロの「ジップ」

1998年にF1のウイリアムズの元エンジニアによってインディアナポリスで創業。これを聞いただけでカッコよさにチビりそうになるZIPP(ジップ)だけど、開発にいち早く風洞実験を取り入れるなど、エアロの鬼としてトライアスロン界でメキメキ頭角を現したんだ。

ゴルフボールのようなディンプル加工をリムに施し、体感はできないけどなんかスゴそうというビジュアルイメージで、エアロといえばジップというイメージを定着させたってわけ。
そして現在はスラム傘下となり開発の勢いはさらに加速。ワイドリム化やリム断面をV字型ではなく丸っこくするデザイン、ギザギザと波打つリム形状などもいち早く採用、ロードレースのタイトルも総ナメにした。製品破損の生涯保証*とか、自信がなくちゃできねえ。
*)2020年モデル以降の新ロゴ製品が対象
主要ホイールブランド⑥ホイール界のラスボス「DTスイス」

高性能ハブをはじめ、スポークなどのメーカーとしても有名なDT Swiss(DTスイス)。
ホイールは完成車に数多く採用されていて、メリダ、トレック、キャニオンなど名だたる完成車ブランドがこぞってスペックイン。製品に派手さはまったくないが、流通量としては世界一といってもいい規模を誇る大勢力なのだ。

CANYON 「キャニオン」」 GRIZL CF SLX8 2024年モデル グラベルロード / 奈良店
ハイエンドから廉価版モデルまで多くの完成車ブランドの要求に応えてきた実力はホンモノで、クセのない作りや基本性能の高さなど、ほかのチャラいブランドが尻尾を巻いて逃げ出すほどの鬼コスパ。
20万円クラスの完成車に採用される「鉄下駄」ホイールもメチャ走ると業界通も太鼓判。
じつはホイールでいちばんすごいのはDTスイスなんじゃね?と言われるほどの、まさにラスボスなのである。
主要ホイールブランド⑦勝ちたいなら「ロヴァール」

スペシャライズドのグループブランド、ROVAL(ロヴァール)。もともとはフランスの独立したホイールブランドだったが、スペシャライズドに買収され傘下に。
当初は「スペシャについてくるわけわからんホイール」というイメージだったんだけど、スペシャライズドが自社風洞実験施設を作ってエアロを突き詰めていったのと時期を同じくして空力性能がガンガン上がり、あっという間に一流ホイールブランドの仲間入り。

エアロホイールだけではなく、軽量ホイールの性能もすさまじく、ロゴが控えめなこともあって今ではスペシャライズド以外のバイクにロヴァールを履くのもフツーになった。
勝ちたいならロヴァール。今じゃそれがレーサーの合言葉になってる。
▼ヒルクライムにもってこい! ローハイトリムの軽量ホイール『RAPIDE CLX32 TU』

主要ホイールブランド⑧トレックライダー以外も、あえての「ボントレガー」

1995年からトレック傘下となったパーツ・用品ブランドのBONTRAGER(ボントレガー)。ホイールに関してはとにかく開発力がハンパなく、MTBなどで儲けた潤沢な資金で開発→バカ売れ→いい人材が集まりさらに開発力アップ、というポジティブなスパイラルに入っている感じ。
トレックが開発したOCLVカーボン技術などもちゃっかり投入して見た目も走りも洗練されている。

ボントレガーはトレックブランドだから、トレック以外のバイクにには履けないよねー、なんて言ってたのが嘘のように、ひとつのブランドとして認知度急上昇。ほかのメーカーのバイクに履いていると、「おっ、わかってるね」と言われるほどになった。
▼これぞオールラウンダー。37mmのリムハイトが絶妙な『アイオロス RSL 37』

>> BONTRAGER 「ボントレガー」 AEOLUS RSL 37 シマノ11速 ホイールセット / 大阪美原北インター店
主要ホイールブランド⑨イケてるサイクリスト御用達「エンヴィ」

ポガチャルやUAEチームエミレーツも使用する憧れの白ロゴ
画像出典:diatec
2007年創立という新興ブランドのくせに「俺はちょっと違うぜ」という独特の雰囲気を感じさせるのがENVE(エンヴィ)。もともとエッジ(EDGE)というブランド名だったが、欧州での商標問題で2010年にエンヴィに変更。アメリカのユタ州に本拠を置き、企画・開発から製造まですべてメイドインUSAという、トランプ大統領も大喜びのアメリカ・ファーストなブランド。

SES(スマート・エンヴィ・システム)という前後でリムハイトの違うホイールセットが特徴。
「おしゃれで高い」「履いてるとわかってる人に見える」と、イケてるサイクリスト御用達ブランドというイメージだったが、最近はタデイ・ポガチャルがエンヴィを履いて2024年のジロ、ツール、世界選手権のトリプルクラウンを制し、「おしゃれなだけじゃなかった!」と機材マニアを慌てさせている。
▼フロントはリアより低いリムハイト。スポーク周辺の形状も変えて空気抵抗をトコトン減らす!『SMART SYSTEM 3.4』

>> ENVE 「エンヴィ」 SMART SYSTEM 3.4 リムAMERICAN CLASSIC ハブ シマノ11速 ホイールセット / 京都八幡店
ブランドを知れば、ホイール選びがもっと楽しく!

岩田節満載でお送りした「主要ホイールブランド紹介」、いかがでしたか。
機材スポーツのロードバイクは、こうやってブランドごとにそれぞれ持つスペック、イメージ、世界観などの特徴を知ることで、より自分の好みに近いものを選べるようになりますね。
あなたの走りを牽引するホイールブランドはどこでしょうか? 今回の記事を参考に探してみてください。
▼最近気になる中華カーボンホイール、実際どうなの!?
▼鉄下駄脱却にイチオシ、カンパニョーロのゾンダってどんなホイール?
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