自転車は新しいほど性能が高くて速い。これは間違いありません。では、古い自転車はお役御免か?といえば、そんなことはありません。懐かしくも奇抜なフレーム形状や派手なカラーリング、はたまた職人が手間をかけたラグの装飾などなど。当時の自転車にしかない意匠は、むしろ年を重ねるほど、魅力的に映るものです。
そんなオールド自転車の魅力を教えてくれたのは、バイチャリの中でも特に古い自転車に詳しい落合巧さんと小林聡さん。90年代のマウンテンバイク(MTB)やクロモリロードがいまおもしろい理由から、実際に手に入る車種、売るときに知っておきたい査定のポイントまで、たっぷり語ってもらいました。

「最新じゃない」が、今おもしろい。昔の自転車が再評価される理由
—— スポーツバイクは、現代のモデルのほうが圧倒的に軽くて速くて快適ですよね。それでもあえて古いMTBや昔のクロモリロードを選ぶ人たちがいる。お二人は、どんな部分に魅力を感じていますか?

落合「ひと言でいうと、“その時代にしかなかった最先端” を味わえることですね。自転車って、ロードバイクもマウンテンバイクも、もともとは競技のために進化してきた乗り物です。競技で求められるのは速さと強さなので、その時代の最新技術が車体に詰まっている。古いものを見ると『当時はこれが新しかったんだよな』っていうのがわかる。速さではいまの自転車に勝てなくても、その感覚がたまらないんですよ」
—— なるほど。少し意地悪な言い方をすると、当時は最先端でも、いまの目で見れば古いわけですよね。それでもおもしろいと感じるのは、どういうところなんでしょう?
落合「いまと比べられるからこそ、進化の流れが見えるんです。最初はクロモリ(クロムモリブデン鋼)から始まって、より軽く強いアルミになり、いまはカーボンが主流です。素材の変化のほかに、フレームの構造にも変遷がありました。新しい構造のフレームが登場すると、それに合わせて競技のルールでも規制がかかる。その規制と技術の進化の繰り返しが車体に残っているのも、おもしろいところですね」
独創的なフレーム構造で空力性能を追求したロータス。従来の常識を覆す設計は、競技規則による形状の制限とも隣り合わせだった

トレックのフルサスMTB「Y-22」。カーボン製のメインフレームが大きなY字を描く形状が個性的な一台。ダイヤモンド型が主流だった頃からは考えられない自由な発想!

80年代後半〜90年代前半、チェーンステーを高い位置に配置した「エレベーテッドチェーンステー」が広がりを見せた。チェーンの巻き込みを防ぎ、タイヤとのクリアランスを確保しやすい設計として注目を集めていた
小林「僕はもう完全に見た目が好きですね。いまの自転車とは全然違うド派手なカラーリングとか、各メーカーの懐かしいロゴのフォントとか。いまとは違うからこそ、逆に新しく見えるんですよね。古着と同じ感覚です。フレームだけじゃなく、変速機やホイールみたいなパーツひとつひとつにも、当時なりの技術で作られた魅力があるんです」


—— 確かに、最先端だった当時の熱量やデザインの独自性にはすごく惹かれますね。一方で、実際に普段乗りとして使おうとすると操作性や乗り心地の面で不便を感じたりしないか心配なのですが、乗り物としてのリアルな使い勝手はどうなんでしょうか?
小林「正直に言うと、快適性や変速性能はいまの自転車のほうが圧倒的に上です。でも、僕はよく自転車を靴にたとえるんですよ。クッション性はいまの靴のほうがいい。でも古い靴を履いているとテンションが上がるじゃないですか。『これには歴史が詰まってる』『この自転車に乗ってるのは関東で俺ぐらいだろう』みたいな。自己満足に近いんですけど、その気持ちが『ちょっとどこか出かけよう』っていう後押しにつながる。それが一番の魅力だと思いますね」
—— そう聞くと、若い世代にも人気なのが頷けますね。
小林「でしょ? 僕が勤務している大宮店に20歳くらいのスタッフがいるんですけど、彼はもう古いものが大好きで、逆に現行品にはまったく興味がないそうです。いまの自転車にはない形や構造が、若い世代には新鮮に映るみたいですね」
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最近よく聞く「オールドMTB」って? 90年代MTBの魅力と当時の名車
—— 古い自転車の中でも、数年前から盛り上がっているのがいわゆる「オールドMTB」ですよね。現代のMTBというとサスペンションがついていて、クルマでいうSUVみたいなイメージがありますが、そもそも、オールドMTBはどんな自転車を指すんですか?

落合「オールドMTBは、主に80〜90年代を中心にしたMTBのことをいいます。もともとMTBは70年代後半のアメリカ・カリフォルニアで、重くて頑丈なビーチクルーザーに太いタイヤを履かせ、山を下って遊んだのが始まりだといわれています。ロードバイクはヨーロッパが起源で、レース競技の中から発展しましたが、MTBは競技から始まったものじゃない。MTBの生みの親として知られるゲイリー・フィッシャーをはじめとするパイオニアたちが、遊びの中から、自分たちの手で専用の自転車を作り始めたのが始まりなんです」
小林「既存の自転車をいじって山で遊ぶ、っていう発想がおもしろいですよね。いまでいうと、クロスバイクを自分流にカスタムする感覚に近いかもしれない」
落合「そうそう。で、そこから1981年にスペシャライズドが『スタンプジャンパー』を開発して、初めて量産型のマウンテンバイクが世に出ます。そこからアメリカで一気に広まって、競技として確立されると、90年代に日本にも入ってきた」

—— 遊びの延長から生まれたなら、「こう乗らなきゃいけない」みたいな堅苦しさもなさそうですね。
落合「そうなんです。マウンテンバイクにはロードバイクにはない自由さがありますよね。街乗りもできるし、トレイルみたいな専用の遊び場もあるし、オールドMTBをファッション感覚で乗る楽しみもある。パーツやハンドルの選び方も自由なので、センスが問われるところも楽しいですね」
—— “自由”といわれると、それはそれで初心者は何を選べばいいのか迷ってしまいそう。オールドMTBには、どんなタイプがあるんですか?
落合「そこがおもしろいところなんですよ。マウンテンバイクはまだいまのような形に落ち着いていない80〜90年代に、メーカーがいろんなことを試していたんです。初期はロードバイクと同じく、トップチューブが地面と水平になったホリゾンタルのクロモリフレームが主流でした。そこから軽さと剛性感を高めるスローピングフレームになって、素材はアルミが台頭。フロントにサスペンションが付いて、前後サス付きも出てくる。90年代は変わった形のフレームもたくさんありました」

小林「現代ほど進んだ解析技術やデータに基づくアプローチができなかったからこそ、ブランドごとに試行錯誤がありましたよね。個人のビルダーが『こんなおもしろいの作ってみた』みたいなフレームもあったりして。量産されていないから、見つけたときの喜びも大きい」
落合「だから、ひと口にオールドMTBといっても、人によって好きな時代や形がみんな違うんです。クロモリの初期が好きな人もいれば、ネオンカラーのアルミが好きな人も、サス付きが好きな人もいる。自分好みの一台を探すこと自体が楽しいんですよ」

小林「コスパのよい狙い目は、90年代のアルミフレーム。クラインなどプレミアのついた一部のモデルを除けば、スペシャライズドのスタンプジャンパーやキャノンデールのMシリーズはかなり手頃です。完成車でも、だいたい5万〜10万円くらいに収まることが多いですね。フレームだけならもっと安く手に入るものもあります」
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いまでも見つかる! オールドMTBの名車たち
- スペシャライズド スタンプジャンパー

※写真は2002年頃のモデル
1981年に登場した、世界初の量産型マウンテンバイク。MTBというジャンルを世界に広めた一台。
- GT ザスカー

※写真は2013年モデル
1991年に量産がスタートしたアルミフレームのMTB。トップチューブとシートチューブの間に補強が入る、トリプルトライアングルフレームが特徴。
- クライン アティテュード

1990年に登場した、クラインのトップモデル。圧倒的な剛性と軽さを誇るアルミフレームとネオンカラーなど鮮やかな塗装で人気。
- キャノンデール Mシリーズ(初期)

※写真は1995年頃のモデル
太いアルミチューブで知られるキャノンデールの初期MTB。アメリカ製で、エントリーグレードからレースグレードまでバリエーションが豊富。
- パナソニック

日本ブランドの本格MTBとして登場したオーダーフレームのMR-Sや、定番のマウンテンキャットなどが人気だった。
- クワハラ

映画『E.T.』に登場するBMXで有名な大阪の自転車メーカー。写真は、2000年に発売された「グリフォン(タイプS)」。20インチホイールと、前後にサスペンションを搭載した本格的なフルサス小径車という唯一無二のキャラクターが魅力。
MTBとは真逆の魅力。ビンテージクロモリロードと当時の名車
—— オールドMTBの自由さに対して、ロードバイクはどんな魅力があるんでしょう?

落合「前提として、歴史の長さが大きく違います。MTBは70年代後半に生まれたものですが、競技用としてのロードバイクの原型が完成したのは1900年頃のヨーロッパだといわれています。その長い歴史のなかで、特にイタリアのフレームビルダーが牽引する形で、『ロードバイクとはこうあるべき』というレーサー特有の様式美ができあがっていきました。だからMTBのように自由にいじるより、古いフレームには当時のパーツを組み合わせて、当時と同じ仕様で乗るのが王道。その“型”の美しさを楽しむのが、クロモリロードの魅力ですね」

小林「MTBとは真逆なんですよ。MTBはありもののパーツで組んでワーッと走っても様になる乗り物だけど、ロードにはヨーロッパ人の魂みたいなものが込められていて、フレームのつなぎ目のラグや塗装、金属パーツとかに、鬼のように手間をかけている。パッと見はどれも似通ったシンプルなひし形のフレームなんですけど、わかる人が見たら『これとんでもないぞ』っていう。そこを楽しめる人はハマりますよね」
—— 見た目のかっこよさで選ぶMTBとは、魅力の種類がまるで違うんですね。

落合「やっぱり自転車の原点的な美しさって、クロモリのホリゾンタルフレームにあると思うんです。ロードバイクはずっと速さと強さを求めてきた乗り物なので、フレームの細さひとつとっても競技の歴史がそのまま表れている。それに、ピナレロやデローザみたいに、フレームビルダーが立ち上げたブランドが多いので、職人のこだわりを感じられるのも魅力です」

—— いまはカーボンのロードバイクが主流ですが、あえてクロモリを選ぶ人は、どんなところに惹かれているんでしょう?
小林「見た目や歴史だけじゃなく、乗り心地も大きいですね。カーボンとクロモリの両方を持っていて、クロモリは乗り心地が好きだから乗っている、という方も結構いらっしゃいます。確かに軽さや速さは現代のカーボンロードには敵いませんが、それだけじゃない。素材そのものからくる乗り味も魅力のひとつです」
落合「ちなみに、ひと口にクロモリといっても、使うパイプや作りによって、乗り味はけっこう変わるんですよ。粘りやバネ感のあるものもあるし、剛性感があってキビキビ走るものもある。気になる人は、そこまで見てみるとおもしろいと思います」
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いまでも見つかる! ビンテージロードの名車たち
- コルナゴ マスター

1983年に登場。星形の断面を持つ独特のパイプが特徴で、当時のロードレースでも大活躍したコルナゴのクロモリの代表作。
- デローザ ネオプリマート

ラグを使った伝統的な作りの、デローザを代表するクロモリフレーム。初代モデルの登場は1998年。
- チネリ スーパーコルサ

クラシックイタリアンロードバイクの不朽の名作として知られるロングセラーモデル。1950年代初頭に登場し、現在もほぼ変わらない姿で生産されている。
- パナソニック

ナショナル自転車工業として1950年代からレースフレームを製作。ツール・ド・フランスも走った。87年にはカスタムオーダーシステムが登場。10mm刻みでオーダーできたため、中古市場にもカスタムフレームが多く出回っている。
- ケルビム

日本におけるフレームビルダーの先駆者として知られる今野仁さんが創業。競輪用のNJSフレームでも知られ、精度の高い作りと美しい仕上げで国内外に根強いファンを持つ。最も歴史の長いモデルはR-2。
日本で独自に育ったピストとランドナーにも注目
—— ビンテージバイクの世界は、MTBとロードだけではないんですよね。ほかにも注目のジャンルはありますか?
小林「ありますよ。外せないのが、ピストとランドナー。どちらも日本の自転車文化のなかで独自に育ったジャンルで、日本ならではの職人技やこだわりが詰まっているんです」
ピスト:競輪の技術が詰まった精巧なフレーム

—— ピストは、競輪と深い関わりがあるそうですね。
落合「そうなんです。クロモリの文化は日本に入ってきてから、競輪を通じて独自の発展を遂げました。競輪では公平性と安全のために、競技用フレームや部品に関してNJS(日本自転車振興会の略)が定める厳密な規格に基づいて作られています。日本のビルダーが作るフレームは伝統工芸といっていいくらいの精度があり、速くて壊れにくかった。そこにアメリカはニューヨークのメッセンジャーたちが目をつけ、カスタムして乗り出したことで、人気が高まりました」
—— 中古で出回るのは、どんなブランドなんですか?
落合「中古市場に入ってくる数が多いのは、圧倒的にブリヂストンのアンカー。定番だとマキノやサムソンですね。ちょっと個性が強くて人気なのが3連勝(3Rensho)、カラビンカ、ケルビム。このあたりは派手な見た目や個性的な形のものもあります」
—— 一時期、街でピストをすごく見かけましたよね。ブームが落ち着いたいま、中古市場はどうなっていますか?
落合「ピストのブームは20年くらい前がピークでした。その後、ブレーキのないピストで公道を走ることが規制されるようになり、NJSではない量産のアルミピストが増えてきた。いまはおしゃれだから乗る、というファッション寄りの人が中心で、客層がガラッと入れ替わりましたね」
小林「競輪用のNJSフレームは、もともと選手しか注文できないものも多いんです。量産されているわけではないので、毎月コンスタントに入ってくるものではありません。出合えたらラッキー、という感じですね」
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ランドナー:旅のために生まれた日本独自の自転車
—— ランドナーは、若い人にはあまりなじみがない言葉かもしれません。そもそもどんな自転車なんですか?

落合「ランドナーはフランス発祥の旅行用の自転車ですが、日本ではタイヤの規格や輪行用の分割構造を取り入れるなど、独自の進化を遂げてきました。70〜80年代前半、日本がサイクリングブームに沸いていたころ、ランドナーで日本一周や長距離ツーリングを楽しんでいた人たちが大勢いたんです。ほとんどがオーダーフレームで、有名なのはTOEI、アルプス、片倉シルク。量産型だと丸石やミヤタ、フジなどがあります」
小林「MTBが山の中を駆ける自転車だとしたら、ランドナーは厳しい峠道を越えて旅をする自転車。よりホビー色が強いんです」
—— オーダーフレームと聞くと、とんでもなく高そうな気がしますが……。いま中古で買うといくらくらいですか?
小林「ランドナーは根強い人気があり、状態にもよりますけど、10万〜20万円くらい。アルプスなどは付属品やパーツの構成次第で、20万円を超えるものもあります。売りに来られるのは自転車を引退する60代、70代の方が多くて、逆に買っていくのは50代以上の方が中心ですね」
落合「当時は高くて買えなかった人が、いま手に入れているパターンが多いと思います。いまは似た用途だとグラベルロードがありますけど、当時のパーツやバッグでそろえるランドナーには、また別の味わいがありますね」
\渋いランドナーやスポルティーフがたくさん!/
昔のモデルを買うときの注意点。規格・パーツ・整備はどうする?
—— デザインに惹かれてフレームだけ買っても、いまのパーツが付かない、壊れても直せないんじゃないか……という不安を持つ人は多いと思います。リアルなハードルはどこにありますか?
落合「“とりあえずクロモリフレームが欲しいから、フレーム単体で買う”というのは、いまの時代、ちょっとハードルが高いかもしれません。近年はディスクブレーキが主流になり、リムブレーキ用のパーツが減ってきていたり、いまの規格と合わない部品も出てきています。なるべく完成車を探したほうが安心ですね」
—— 中古のフレームは、見えないところが傷んでいないかも不安です。どこを見れば安心できますか?
落合「クロモリは、適切な手入れとメンテナンスを行っていれば何十年と乗れるフレームです。大きな凹みなどの損傷がなければ、カーボンやアルミほど状態に神経質にならなくても大丈夫なことが多いです。きちんと管理しているお店で、きれいなものを選べば安心だと思います」
—— せっかく手に入れても、パーツが壊れたら替えがなくて乗れなくなる……なんてことはありませんか?
落合「ロードバイクなら、市場に出回っているリムブレーキ用のパーツでほとんど対応できます。当時のパーツにこだわらなければ、フレームの雰囲気を生かしながら、いまっぽく乗ることも全然できますよ」
—— オールドMTBも、同じように考えて大丈夫ですか?
落合「MTBは、実はロードより少し大変です。いまのMTBのパーツはほぼディスクブレーキ用なので、パーツが少ないんです。ただ、Vブレーキはクロスバイクでまだ普通に使われているので流用できますし、当時のパーツといまのパーツをうまく組み合わせれば、組むこと自体は問題ありません。少し苦労するのは、26インチのホイールとタイヤが手に入りにくいことですね」
小林「安心してほしいのは、絶対に手に入らないパーツ、というのはまずないということ。バイチャリのような中古店、ネットオークション、フリマアプリ。あとは、近所の昔からやっている自転車屋さんに相談すると、奥から引っ張り出してきてくれることもあります(笑)」
—— 買ったあとの整備は、どこに相談すればいいでしょう?
落合「一般的な自転車屋さんでも、簡単な修理やメンテナンスはしてもらえると思います。ただ、古い規格や専門的なノウハウが必要なものは、スポーツバイクや古い自転車を扱っているお店のほうが安心ですね」
小林「バイチャリでも、できる限り対応させていただきます。足りないパーツがあれば入荷を待っていただいたり、お客さまが探してきたパーツを取り付けたり。すぐに対応できないこともありますが、まずはお気軽に相談してほしいです。購入時に気になるところがあれば、それも含めて、しっかりご説明します」

購入や整備まで、店舗で相談してみよう
高く売れる名車と、査定の落とし穴。
—— 最後に、売りたいという人向けに教えてください。家に古い自転車が眠っている人は「こんな古いもの、値段なんて付かないだろう」と思いがちですが、まず、チェックしてほしいのがブランド名ですよね。名前だけで高く売れるブランドってあるんですか?

小林「ありますよ。MTBなら、古いイエティと古いクライン。この二つはぶっちぎりですね。同じ年代のMTBのなかでも、査定額は頭ひとつ抜けています」
—— どうしてその二つは別格なんでしょう?

落合「どちらも、MTBの歴史を語るうえで外せないブランドだからですね。クラインは、太いアルミパイプのフレームをいち早く手がけたメーカーで、鮮やかな塗装も含めて当時の憧れの的でした。しかも90年代半ばにトレックに買収されて、いまはもうブランドはありません。イエティは、当時のトップレーサーが乗ってレースで活躍した、アメリカの伝説的なブランド。『当時は高くて買えなかった』という人がいまも探していて、海外のコレクターも欲しがる。数が限られているのに欲しい人が多いから、値段が下がらないんです」

小林「覚えておいてほしいのですが、古いから一律で安くなる、ということはありません。うちは年式で値段を決めるんじゃなく、需要と相場、それに状態や、売り出すまでにかかる整備のコストなどを総合的に判断して査定しています。古さより、人気と状態で値段が決まります」
\年式や状態に不安があっても大丈夫!まずは査定を/
名車でも査定が下がるケース
—— 人気の名車でも、これがあると一気に査定が下がる、という落とし穴はありますか?
落合「フレームの大きな凹みや、後輪を取り付ける部分(エンド)の曲がり、錆ですね。人気の車種でも、ここは査定に影響します」
小林「あと見落としがちなのが、カーボンとアルミをつなぎ合わせたフレームです。まっすぐなカーボンのパイプをアルミの接合部(ラグ)でつなぐ作りが1990年代〜2000年代半ばに流行ったんですが、接着剤が剥がれるといったトラブルが起きやすい。そういう見た目ではわからない部分もあるので、お持ち込みいただいてから判明することもあります」
買取できないケース
—— せっかく持ち込んだのに、買取を断られてしまうケースもあるんでしょうか?

落合「本来フレームに刻印されていなければいけない車体番号がない、または読めないものは、基本的に買取できません。盗難品ではないことを確認できないからです。ただ例外もあって、古いビルダーのフレームには、もともと車体番号がないものもたくさんあります。そういうものは問題ありません」
小林「それ以外で買取できないのは、よほど人気や価値がなく、ボロボロになっているものくらいですね。逆に、壊れていてもジャンク品として価値があるモデルやパーツは買取できる場合もあります。この前も、割れたシートポストが買い取った翌日に売れた、なんていうことも。元の値段が高い専用品だと、意外と需要があることもあるんですよね」
落合「最近は小さな買取業者や総合リサイクルのお店も増えています。でも、ネットオークションやフリマの相場だけを見ていると、本当の価値を見落とすことがあるんです。バイチャリでは、昔の雑誌やカタログなどの資料と、知識のあるスタッフの目で、一台一台の価値を見定めて金額を付けています。これは無理だろうと自己判断せず、ぜひ一度査定を依頼してもらえると嬉しいです」
\買取できるか、まずは気軽に相談してみて/
名車との出合いは中古だからこそ。自分だけの一台を探そう

オールドMTBや90年代のクロモリロードには、現行モデルとは異なる設計思想や、当時の技術者・職人たちのこだわりが詰まっています。いまでは手に入りにくいモデルやパーツに出合えるのも、古い自転車ならではの魅力です。
気になる一台を探している方も、乗らなくなった自転車の価値が気になる方も、ぜひバイチャリに相談してみてください!
運命の一台を見つけたい方へ
乗らない自転車があるなら次の一台の軍資金に!
